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レディ・プレイヤー1のikustatinoのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.9
天才が駆け抜けてきた時代の記憶と追いかけてきた夢の世界を追体験していくような作品だった。
映画を観終わってみると、懐かしいキャラクターとイースターエッグの数々は僕らの享受してきた夢であると同時に課せられた"罪と罰"のようにも感じられ、深く胸に刺さった。

現実を見ずに「過去と夢想の世界の住人になってしまう事」が僕らの"罪"であるとして、監督は「原罪を背負って、人と出会い、新しい世界をクリエイトしていく」という"罰"を作品で与えようとしていたように思う。そしてそれは唯一の正しい"救い"だというビター&スイート。

物語の最大のイースターエッグは映画監督で夢想家でもあったスピルバーグが自身に課した"罪と罰"であり、物語を通して次の世代にバトンを繋ぐ事で彼は自身の贖罪と道標を示したとも言える。VRと現実のメタファーがそのまま物語と映画館にいる僕らだったという二重構造は流石と思った。

何処までも独善的で無慈悲であるとも言えるし、夢想家達に平等に優しい眼差しを送っているようにも思えるこの結末は既に時代のレジェンドであるスピルバーグだからこそ許され、実現できたものだと思う。

80'リバイバル全盛の昨今、ポップカルチャーとバーチャルリアリティーに対する風刺と期待を織り交ぜた監督の遺言のような作品。
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