JIZE

レディ・プレイヤー1のJIZEのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
3.6
夢の具現化が果たされたVRワールド"オアシス"を舞台に創始者の遺言に仕掛けられた3つの謎と56兆円もの財産をめぐって全人類参加の争奪戦を描いたバーチャルサイバー映画‼冒頭でかかる楽曲の"Jump"は作中で一番興奮した。発想は極めて巨大テーマパークのような大円団の体裁で文字通り"大乱闘"がVRの特別な世界観のなかでモブ的に繰り広げられる。内容の主眼がVR(描写)で副眼が現実(描写)という感触だった。ここに俺は違和感を抱いたのも事実だ。近年観た「ピクセル」の8ビットに近い感触。また主に"抑圧された世界から飛び出し現実を生きる"スピルバーグ印のかなり普遍的で直球なメッセージ性が盛り込まれていた。基の原作となる「ゲームウォーズ」は未読。簡潔に言えば鍵を獲得する映画オマージュの様々なくだりが面白いに尽きた。もっと言えばそれは序盤,デロリアン,T・レックス,キングコングの登場シーンであったり中盤の「シャイニング」のホラー世界観まんま引用場面に附随する。現実と架空でアバターを区切り理想と現実をアプローチする術などほぼ逆版「ジュマンジ」で特に序盤はVR描写がかなり長続きするため現実と架空の断絶感がかなりある。序盤はかなり退屈で映画を観てる感覚より家庭用ゲームをしてる感覚であった。

→総評(想像が全て現実となるVR体感世界劇)。
スピルバーグの映画としては発想一発で材料はいいが脚本が面白くない。またゲームの攻略を阻止する側と突破する側の図が中盤以降はかなり占めているため題材そのものの名作映画にセルフオマージュを被せる構成が消化不良で満たしきれておらず過不足なのは否めない。同時になぜ「シャイニング」だけあれ程忠実に世界観を描写したのかも思い返せば謎である。映画の有名アイコンにおける同窓会映画としてはコメディ的に成功してるが本質のストーリーが空洞化しており結局薄い点やモブキャラがここぞとばかりに登場し大乱闘を繰り広げているも本質の展開そのものは脆く制止している。事前の期待値を上げすぎたせいもあり鑑賞後に込み上げるエモーショナルが特になく"新鮮"という観点以外では映画の良さをぶっちゃけ感じれない。登場人物に関しても何か特別な味付けをしているわけでもないためノレそうでのれない。3つの鍵のくだりを更に掘り下げてさまざまな映画のバーチャル世界観に飛び込む脚本のほうが世界の存亡を天秤に賭けたうやむやなストーリーより楽しめたのではないだろうか。。映画というよりライド感覚に特化させつつもVRを題材にした新世代の嗜好を意識する普通の作品でした。
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