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レディ・プレイヤー1のTEPPEIのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
3.8
スタンリー・キューブリックファン悶絶間違いなし。サプライズだらけの宝箱。アーネスト・クライン原作の「ゲーム・ウォーズ」を様々な権利関係を乗り越え、ついに実現したプロジェクトを巨匠スティーブン・スピルバーグ監督が映画化。アーネスト自身も脚本に加わり、新世代VRオアシスを舞台にしたまさに体験型映画だった。
我々が観るものは一見VR、ゲームをプレイする登場人物を見るだけだと思われがちだが、スピルバーグの撮り方もあるだろうが、全くテレビゲーム感のない壮大なアドベンチャー大作に仕上がっていた。むしろたまにいる熱烈ゲーマーの映画監督に撮らせてたらそうなっていたかもしれない。苦言をしておけば映画ファン…というよりもう80年代映画ファン以外にとってはマニアック過ぎて疲れがどっと来るだろう。
なぜいま映画化っていえばVRというまさに今流行している社会を反映させたスピルバーグの皮肉も感じつつ、巨匠が本当に製作が難しかったと語ったこの映画はまさにこの世に1つしかない作品になった。開始早々画面いっぱいに映る映画ファン熱狂のキャラクター達、あれあちらにはXウィング、あちらにはロボコップやキティちゃん、V8インターセプターなどなどキリがない。音楽も80年代ベストヒットのパレードで、SF小説としてもハインラインやスティーヴン・キングにオマージュを捧げている。正直何回も観ないと把握しきれないキャラクター祭りになっているが、ストーリーも実にノスタルジックでロマンチックで時々切なくなるのも意外だったと言える。騒々しいシーンや、謎解きでスローな展開を挟み、大胆で、ユーモアもある。80年代の娯楽に飢えていた胸熱な心を表現し切ってすっかり楽しんでしまった。あくまでゲームの世界で死んでも現実では死なないというつくりだが、そこでカタルシスを感じないのは致し方なし。日米のポップカルチャー映画は予想よりも滅茶苦茶ではなく、誰もが楽しめる超大作である。

スケールのデカいオアシス世界とは反対に、現実世界ではややスケールの小ささは否めない。「傑作」とは呼べないのだけど、「忘れられない映画」ではある。スピルバーグはゴジラもガンダムも格好良く撮れる。野心的で眩しい映画は本当に大好きなのだが、懐かしさや古めかしい場面もあるのは確か。今も昔も変わらぬスタイルでたとえ古参的や時代遅れと言われていても、80年代映画ファンは彼の功績を知っている。何だかんだ観ながら色んな事を考えてしまった。色んな場面でスピルバーグが監督する意味を感じられる。
キャストもなんとなく古臭くて僕は好き。

総評としても「レディ・プレイヤー1」は壮大でスピルバーグのアドベンチャー映画の代表のひとつとなった。
何となく観ながらエドガー・ライトやブラッド・バードが監督ならどうなっただろう…と考えた時も。どちらにせよ、
「俺はガンダムで行く」は一度でもいいから言ってみたい。
権利関係でダメだったウルトラマンの登場、ガンダムの実写、ゴジラのリブート等あればスピルバーグ監督にまずは申し込んで来いって言いたくなる。
超ポップコーンムービーだから。
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