岡田拓朗

レディ・プレイヤー1の岡田拓朗のレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.3
レディ・プレイヤー1(READY PLAYER ONE)

最高に楽しい映画体験でした。
もはや映画というよりも、次世代の新しいゲームの中に飛び込んだような感覚で、ゲームを普段そんなにしない自分でもゲームしたくなったし、興奮が収まらなかった。
普段ゲームをしない自分でもこんなに楽しめたんだから、ゲームや最新テクノロジーが好きな人にとってはもっとたまらない映画なんだろうなーと思います。

時代は2045年。
環境汚染や気候変動、政治の機能不全により、世界は荒廃していた。
そのため、スラム街で暮らさざるを得ない状況に陥った地球上の人口の大半はオアシスと呼ばれる仮想現実の世界に入り浸っていた。

まず冒頭のカットに注目してましたが、スラム街の感じがリアル感のある非日常を感じさせてくれて、ファンタジーでありながらも現実になる可能性を暗示させてくれ、一気に映画の世界に引きずり込んでくれた。

いまや至るところでその声を聞くようにも、見るようにもなってきたVRという最新テクノロジー。
実際に、一部ゲームにも取り得られるようになってき、今後ますますエンタメ領域に参入していくことが考えられる。

そんなVRを、2045年なら確かに実現しているかもしれないもう一つの現実として、実際にあるかのように描き、オアシスがまさに現実になったら起こり得る現実と非現実の区別がつかずにのめり込みすぎることで考えられる弊害や課題感をも突き詰めて、こんな世の中になったとしても、現実でもしっかり人と向き合って生きていくことの大切さを訴えてくるメッセージ性もとてもよかった。

日本では少ないかもしれないが、実際にニュースなどで、ゲームにのめり込みすぎて、アイテムを買うために、現実のお金を余すことなく浪費し、現実世界で生きていけなくなったり、ゲーム依存から抜け出せずに、更生するための学校みたいなものがある国もあって、今後そんなことがテクノロジーの発展によるエンタメ改革で、より進むことも考えられる。
(ゲームがオリンピック競技になるという議論もあったりしてるし)

来たる時代に向けて、ゲームという一つのエンタメにわくわくさせてくれるだけでももちろんいいのだが、そこに社会問題的な要素まで入れ込んできて、それに対しての自分なりの答えをストーリーの中で導いていくのが、さすがスピルバーグ監督だなと思った。
しかもそれが楽しさを邪魔させずに、ちゃんと感動に持っていくのがすごい!

内容は、現実世界では裕福な暮らしができずに冴えない主人公ウェイド(ゲーム名パーシヴァル)が、オアシス(ゲーム)の世界では、英雄として慕われていき、その世界の中で出会った仲間たちと、オアシスを守るために利益しか考えずオアシスをそれに利用しようと考えるソレント率いるIOI社と対立し、先に3つの試練を乗り越えようと奮闘していくストーリーである。

オアシスというゲームをする中で、現実世界でも友人がおらずゲーム世界でも一匹狼だったウェイドが、まずゲーム世界で仲間を作り、そのよさに気づき、現実世界でもいつの間にか1人ではなく、本当の仲間になれたし、恋人もできたし、英雄にもなれた。

ゲームとは、現実世界に拠り所のない人にとっての拠り所になり、ひいては現実世界でも仲間や恋人や居場所を見つけることに繋がり、ゲームを通じて現実世界で生きることでの充実にも繋がることをスピルバーグ監督は理想として捉えてるのではないか、と思った。

ゲームは、現実逃避として一人で楽しむものでなく、世界中が繋がれるようになった今、ゲームを通して人と人が繋がり、人が人らしく生きるのをサポートできるものとして機能する可能性も往々にしてあるんだなと、ゲームの可能性に気づけた。

現実世界で生きることを前提に、現実世界を充実させるためにゲームがあることを証明してくれたと言っても過言ではない。

さらに今作はスピルバーグ監督のエンタメオタク振りが存分に味わえる。
映画やゲームのオマージュがたくさん散りばめられており(自分は数個しかわからなかったが)、そんなシーンも楽しみながら鑑賞することができるのもエンタメ好きにはたまらない作品と言えるだろう。

何も考えずに観ても楽しめるし、何か考えながら観ても申し分ない。
現実になるかもしれない完全なる次世代の世界をイメージして、興奮せずにはいられない。

どんな方でも絶対に楽しめる作品だと思います。
正直、自分はあまり鑑賞しないジャンルで、鑑賞しても心動かないジャンルかと思いましたが、今作は全くそんなことがなかった。

ぜひ、映画館で堪能してください!!

P.S.
これだけの版権を使用するのにどれだけの労力がかかったことか…それも含めて圧巻。
岡田拓朗

岡田拓朗