ま2だ

レディ・プレイヤー1のま2だのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.4
レディー・プレイヤー1、観賞。

スピルバーグの全方向的な愛の照射に圧倒される2時間。2018年におけるアバターやマトリックスの後継であり、ジュマンジとの共振もありつつ、ナード/オタクの大伽藍に仕立て上げられた本作は、それでいて実は狙いすましたコンパクトさを獲得していてさすがに巧い。

このコンパクトさへの志向は、収集つかないように思える無数のオマージュと引用を、いくつかを除けばメインストーリーの背景以上には侵食させないトリビア的なレイヤーで配置していることにも表れていて、オマージュがストーリーテリングを失速させることがほぼない。舞台そのものが巨大なオマージュである第2の試練のキャッチーさが際立つのもそれゆえだろう。

誰も解けなかった試練の数々の難易度と、主人公たちがクリアするまでの経緯までコンパクトなのはどうかな?と思わせられなくもないが、座学中心での攻略法発見プロセスは、大オタクの人生を新人オタクが辿る、という本作のテーマには沿っている。

ラストバトル回りに散りばめられたジャパンカルチャーのアイコンはもちろん、ベタなブシドースピリット全開の展開、同じくいくらテクノロジーが進歩しようともクリエイターがプロダクトに込める思いは変わらない、というメッセージにも、それぞれに対するスピルバーグのリスペクトが感じられて胸が熱くなる。

それらに比べると仮想世界での交流を通じた現実世界での成長、というもうひとつのテーマは教科書に載るくらい優等生的な心地良さに留まっており、贅沢な気もするが、かなりどうでもいいセリフで締めくくられるエンディングを観ると、もうひと押し欲しかったように思える。サイモン・ペッグの下りで終わってよかったのでは。

外観に散りばめられたアイコンへの知識はもちろんあればあるほど楽しいだろうし、トリビア的な再見を促す作りも巧い。本作が素晴らしいのは本尊にこそきっちりスピルバーグの愛が注がれている点だ。

名優と組んで短期間で撮ったペンタゴンペーパーズと同時期に、フレッシュな俳優陣を使ってイマジネーションと愛を炸裂させた本作を作るクリエイティヴィティとエナジーに感服。
ま2だ

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