Bluegene

レディ・プレイヤー1のBluegeneのネタバレレビュー・内容・結末

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

エログロな映像もFワードもなく、友達が力を合わせて困難に立ち向かうというストーリーなので、お子様が見ても安心なファミリー映画である。ゲーム世界が舞台ということもあって「ジュマンジ」とちょっと被る。

ただ、「ジュマンジ」では現実世界にあった瑕疵がゲームオーバーでリセットされたのに対し、「レディ・プレイヤー1」ではもろディストピアな現実世界に対する解は特に提示されない。主人公たちは滞納者の強制徴用をなくし、「火曜と木曜はゲームをやめて現実を楽しもう」てキレイめにまとめてるけど、そもそも現実が耐えられないほど酷いからみんな「オアシス」に逃げ込んでたんじゃあ…ゲーム止めたら自殺者が出るよきっと。

もっとも、カリカチュアライズされた悪役を見てわかるように、この設定はそんなに真剣に考えたものではないのだろう。自分が好きなものになれるVR空間という幻想、そこでの宝探しゲーム、そしてオタクが大好きなポップカルチャーへのオマージュを楽しんでほしい、というのがスピルバーグからのメッセージ。なにせ現実はこの映画に負けず劣らず悲惨だけど私たちには「オアシス」がないからね。

VRゲームだけでなく、ハリデイの仮想人格や彼の記憶のライブラリーなど設定全体にグレッグ・イーガンの『ゼンデギ』を連想させるところがあり、密かに影響されてるんじゃないだろうか。あちらは人間の精神や人格とは何か、というまじめなテーマに取り組んでるので、オアシス空間にいたハリデイについて考察したい方はぜひ。
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