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レディ・プレイヤー1のkigumaのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
3.6
-なぜか乗りそこねた傑作-

ストーリーもよく練られ、愛に溢れた作品なのになぜか序盤から没入しきれずに乗り遅れ、その置いてけぼり感はなかなか解消されなかった。
「社会性のないオタク」を自認する主人公達が美男美女揃いという大人のジジョウの感想ではなく、映像で見るとあらためて「VRにそれほど未来はないのではないか?」と感じたからかもしれない。
人間の感覚は不思議で、2Dのモニタを睨んでゲームをしている時は、8bitのドラキーを想像力で補い興奮する事が出来るけど、没入したVR世界は(恐らくその想像力が働く余地がないからだと思うけど)作り物めいて見える。この先、人間の五感全てをジャックするだけの進化が必要なのかもしれない。なので、現実の延長線上のゴーグル、スーツを見ると、キアヌ・リーヴスのJMを見た時に感じた居心地の悪さを思い出すのだ。

ただ、それでもガンダムのシーンには鳥肌が立った。単に「懐かしキャラ」の扱いではなく、「あぁ、日本人にとってガンダムはリアルロボットとかではなく、ヒーローなんだな」と改めて思った。あの一連のシーンは、あざといぐらい「日本的な文脈の燃える展開」を映像で表現していた。

だから本作は映画という括りよりも、「湯水のようにカネをかけた薄い本」という方が正しい。庵野監督の若い頃の作品みたいなものかも。
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