龍じん

レディ・プレイヤー1の龍じんのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.5
『激突!』『JAWS』『未知との遭遇』『E・T』『インディジョーンズ』名だたる彼の代表作も古典となってしまった現在。これらを観てない若い世代も多くいるんだろうなぁ。しかし本作品は彼スピルバーグその人でなくては完成足り得なかったであろう。他の巨匠と呼ばれる監督達が自己に内包する「自分のみの世界」を映画という形で顕在化するのに対し、スピルバーグは常に我々老若男女全ての者の「見たいモノ」を描いてくれる。黒澤でもコッポラでもキューブリックでも成し得ない「娯楽」に特化したエンターテイメント性がスピルバーグ作品にはあるのだ。そんな作品を生み出してきた彼だからこそ、コンテンツの著作権を所有する企業が使用を許諾してくれたのだと思う。彼になら自分の子供達をあずけてもいいと。

 作中で言うところのイースターエッグ→お宝映像探しも目が脳が追いつかない。80's〜90'sポップカルチャーがこれでもかという圧倒的物量で迫ってくる。カネダバイクや春麗、ソニック、キティ、ガンダムvsまさかの✕✕○○○等日本のタイトルも数多く、ガンダムに関しても一瞬の出演かと思っていたらガッツリ演技していて(ポージングはなぜかZZだったケド…)、○○○のテーマ曲まで流れようとは日本人としては嬉しい限り。
あぁクリスティーンが!フレディが!ロボコップが!み…三船敏郎💧『シャイニング』は特に好きな作品なのであまりのオマージュっぷりに感涙。
原作者のアーネスト・クラインも相当のオタクだが、スピルバーグも負けてない。様々な作品に傾倒し愛情に溢れているのが画面から溢れている。老いて尚盛んとはこのことかw

 ストーリー自体はスピルバーグらしく王道。
原作とは鍵の謎解きの順番・内容が少々別物だが、映画としては成功してるかな? チェイスバトルで観客の心を掴み、『シャイニング』のくだりで創設者ハリデーの心情・OASISの存在意義を解き明かし、最後のバトルシーンでクライマックス。
パーシヴァルの呼びかけに呼応し立ち上がったアバター達が敵地に集結する場面はお約束と分かってはいても心揺さぶられるシーン。観客達は自分の好きなキャラクターをスクリーンに投影し、オアシスを守るために戦っていたのではないか?少なくとも私はそうだった。自らの大切な人を場所を目的を守る為シクサーズと死闘を繰り広げるOASISのプレイヤーの一人となっていた。うまいなぁスピルバーグ。この作品における膨大なオマージュは本作品の売りであり見る者の目を奪う最大の見所ではあるが、観客が最大限感情移入させられる為のギミックでもある。いいじゃないですか。彼の計略にまんまと乗せられましょうよ。

 いわゆる名作というのと本作は違う。感動で涙する作品でもない。
しかし、OASISと『レディプレイヤーワン』という作品、スピルバーグ監督とOASIS創設者ハリデー、アバター達と観客、これらの対を成す構成要素は「現実」と「虚構」の間に横たわる大いなる隔たりを取り払い、ハリデーがそうである様にスピルバーグもまた彼の作る作品全般に普遍的に存在する「誰もが子供時代に持つ憧れの世界への冒険」へと我々をいざなってくれる。
映画はエンターテイメントであり、華々しい夢の世界に我々を没頭させてくれる最高の手段であると私は確信している。そしてそれが良い映画の条件なら本作は一級品だ。
映画好きなら必須の一本。「現実(リアル)」の頸木(くびき)から逃れ、エンターテイメントの世界に身を委ねようではないか。

追記
IMAX初鑑賞だったのだが、うーんコレは酔うね💧
MX4Dでリピート鑑賞しようと思ってたんだけど、コレに揺れがプラスされるのかぁ。ちょっと考えものかな笑
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