グラッデン

レディ・プレイヤー1のグラッデンのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.0
俺はガンダムで行く。

日本では『ペンタゴン・ペーパーズ』が先月公開された直後に、本作が公開となったスティーブン・スピルバーグ監督。『ペンタゴン~』の社会派モードから一転し、エンタテイメントに徹した本作の振り幅の大きさに改めて唸らされます。

鑑賞者のノスタルジーを引き出すような、80年代以降のポップカルチャーのアイコンたちが集う博覧会のような世界を、VR空間という現在進行形で成長を続けるフィールドで展開する『オアシス』の世界は、多くの人が「足を踏み入れてみたい」と感じさせる夢の空間だったと思います。膨大な情報量が同時多発的に流れていくネット空間ならではのスピード感も心地よく、当方が実践した3D鑑賞における相性の良いライド感でありました。

深読み要素もありますが、本作で描かれたネット・リアルの関係性にも考えさせられました。本作の登場人物に代表されるように、性別・国籍等の枠組みが取り払われた空間だからこそ育まれる仲間との繋がりは、ネット空間ならではの現象だと思います。
また、主人公・ウェイドがそうであるように、現実世界では見つけられなかった自分の「居場所」を提供してくれることも、ネットの特徴であると考えることができます。おそらく、作品世界『オアシス』に限らず、現実世界のネット空間に身を置く人々(当方を含む)が共感できる部分があると思います。

一方、賛否はあるかもしれませんが、ネット空間が持つ万能性を賞賛するのではなく、リアルの存在を疎かにしない伝え方は、個人的に良かったと思います。ネットで生み出されたものを補完する存在としてのリアルは欠かせない点を説いたことは、冒頭に描かれたウェイドの家庭環境のような空間、あるいはIOI社の徴収部門が暗に伝えてきた依存を繰り返さないため、持続可能なネット空間の付き合い方を提示する意味でも、あるべき方向性であったかと。

日本のアニメ・ゲーム文化に触れた人間とすれば、アレとアレがアレする夢のバトルを見せてくれる部分ではご褒美のような作品ではありましたが、成長著しく・高度化が進むネット空間と同居する我々にとって「今見るべき」作品かもしれません。いずれにしても、大画面で見なきゃ勿体ない!!!