3Dメガネを着用しての視聴だっただけに、映画を観ているというよりはアトラクションに興じている感覚でした。
また、80年代の映画、音楽、ゲーム、アニメなどのポップカルチャーの洪水には、自ずと興奮しました。明らかに日本人を意識して作っている部分も散見され、今回はピンポイントに的を絞ってきたなと感心すらしました。
ただ、終わって冷静になってみると、色んなところに粗があったなと気付きました。恐らく、劇場にいた時はテンションが上がっていたため、他の細かいことが気にならなくなっていたのだと思われます。
スピルバーグ作品の良いところは、細かいところを気にしないで楽しめる娯楽になっている点です。逆に言えば、娯楽性が強いために細かいところが気にならなくなるという落とし穴があります。
彼の作品を観ているといつも感じることなんですが、凄いなぁとテンションが上がっている一方で、どこかで冷めてしまっている自分に気づきます。
今回もそうでした。
その原因を自分なりに考えてみました。
①登場人物に魅力がない
②人間ドラマが薄い
③ストーリー展開が雑
④その他の粗
まず、①に関して。
まず、主人公に感情移入ができませんでした。両親が既に亡くなっていて孤独という設定が使い古されたパターンで入っていけませんでした。(原作がそういう設定なのでしょうから、スピルバーグさんに文句言ってもしょうがないと思いますけど)あと仲間になる人とかにも特に魅力的な人がいませんでした。
また、それ以上に敵の社長(名前忘れた)が紙にパスワードを控えているようなバカで小物感が否めませんでした。
次に②に関して。
よく言われていることですが、スピルバーグさんは人間ドラマの描写が下手です。特に恋愛描写が下手です。
孤独な主人公が仲間と出会う過程とか、そのうちの一人の女性と恋に落ちるとか、今までによく見てきたパターンだと思いました。恋愛については、「え? お前、その子のこと、いつ好きになったの? どこを好きになったの?」と、疑問符が最後まで消えませんでした。
次に③に関して。
3つの鍵を探してイースターエッグを手に入れるとか、現実と仮想現実がリンクしながら争奪戦が展開するとか、ふつーに面白い試みです。
ただ、謎解きがあまりに稚拙だったり(誰にも解けなかった謎を主人公があっさりと解いてしまう雑さ。この世界の住人はアホなのか?)、敵がアホ過ぎたり(紙にパスワード書くなっての)と、細かい粗が目立ちました。
最後に④に関して。
これだけ仮想現実が発達した時代に、紙にパスワード書くアナログ野郎がいたり、ドローン(2045年におけるドローンは古い技術なのでは?)を使っていたり、もう少し設定にこだわった方がいいんじゃないかと思いました。
とまぁ、以上の四点が3D熱が冷めた後で怒涛のように押し寄せたわけです。
しかし、私以外の劇場を出ていくお客さんは、そんなことを全く指摘しないで、異口同音に「すごい」と言ってました。
スピルバーグさんのすごいところはここだな、と改めて感心しました。
どれだけ粗があっても、最後にはお客さんに「すごい」とか「面白い」とか言わせたら勝ちなんです。
そういう力を持った映像作家こそ愛されるんでしょうね。