ぴのした

レディ・プレイヤー1のぴのしたのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.0
最高だった…最高じゃありませんでした!?なんて映画への愛と夢にあふれた映画なんだ。

きっとスピルバーグも今から見る映画のポスターを見上げてワクワクしながら映画館のドアを開いて、夕暮れに一人でテレビゲームにかじりついて、シャイニングのエレベーターに震え上がって、カネダのバイクに痺れていたんだろうなあ。この映画はVRが舞台だけど、きっと面白い映画やゲームは白黒やドットの集合だったころから「VR的」だったんだろうね。

見終えたあと、スピルバーグ相手に「この映画面白くなかった?このシーンやばくね!?もはや伝説よな〜〜!あとこのゲーム昔やらんかった!?ここに隠しステージがあってさ〜〜」と語り合ったような気分になる。

昔のポップカルチャーの知識がないと進めない作中のゲームのように、いろんな映画やゲーム、そしてスピルバーグの好みの知識があれば、この映画をもっと楽しめるんだろうな。

スピルバーグの映画は何というか、とにかく徹底的に「ワクワク感、ドキドキ感」を大事にしてるよね。

「恐竜が現代に蘇ったら面白くね?」「未来や過去にタイムスリップできたらテンション上がるよね!」「宇宙人がやってくるとしたらどんな風に来るんだろう?」「巨大ロボットが戦うなんてワクワクするよね!」と。

誰もが考えたことのある想像を王道的なやり方で、これでもかと大切に丁寧に映画にしてくれる。この映画はそんな彼の映画作りの軸の太さを改めて実感させられた映画だった。

しかもさらにすごいのが、これだけ「ポップカルチャー最高!」と叫んでおきながら、主なメッセージとして「やっぱ現実最高!」とも謳っているんだよね。そこが絶妙なバランス感覚で、僕も今週忙しくて映画を見れなかった分、久しぶりにこういうハラハラドキドキできる映画を見て最高にテンション上がった。でもこれが毎日こうだときっとこんなに楽しめなかっただろうし、やっぱり映画は非日常を楽しむもので、これを日常化してしまったら不健全なんだろうね。作中のオアシスのように。

なによりシャイニングのシーンが最高だった。「さあくるぞ、行くぞ、シャイニングだぞ、準備はいいか〜〜」とニヤニヤするスピルバーグの声が聞こえてきそうだった。ドアが開いてタイプライターの部屋が画面に映し出された瞬間、劇場でいくつもの感嘆のため息が上がったのが聞こえた。スピルバーグ、お前どんだけ映画が、文化が大好きなんだよ…と感動して涙が出そうになった。

ありがとうございました…明日から日常を頑張ります。