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レディ・プレイヤー1のNONAMEのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.1
まさに今という時代を象徴するような傑作だ。ちょうどデヴィッド・ロバート・ミッチェルやアリ・アスターなど新世代監督があらゆる映画を飲み込んで急速に広がっていくのと歩調を合わせるかのように このハリウッドが誇る映画界のゴッドファーザーも 前作『ペンタゴン・ペーパーズ』から間髪入れずの新作『レディ・プレイヤー1』で 出来る限りの映画と貧欲に接続を果たそうとしている。もはやこの映画は 『未知との遭遇』や『E.T.』みたいに 所詮 「古ぼけたスクリーンで観賞するような 微妙にもたついた独自のオンビートに乗ったファミリードラマが特徴のひとつ」と簡単にレジュメすることは出来ない。ここには 『AKIRA』もあれば ガンダムもいる。メカゴジラもいれば ウルトラマンは…。

アジアからヨーロッパまでを横断する一種のクロスオーバー・ムービー。その映画的地平は どこまでも拡大されている。話題だったガンダムVSメカゴジラもジョージ・ルーカス風味(スター・ウォーズ的な)には仕立てていない(少なくても僕にはそう感じた)。そして それは この映画的VRの世界観がヒエラルキーなく 等価に溶け合っていることの証明でもあるのだろう。インターネットによってあらゆる映画へのアクセスが容易になった現代においては そういった映画の作り方は当たり前かもしれない。だが スピルバーグが見渡している映画的地平の広さと 予定調和的な完璧主義を拒否する冒険心の強さは まったく他の追随を許していない。ここには今という時代の最良の成果があり だからこそ未来が見える。

スティーブン・スピルバーグの作品は常に時代より三歩進んだ映画だと思う。『レディ・プレイヤー1』は暗い時代におけるもっとも眩しい輝きである。映画はお前の目と耳と心をガッと押し広げて そして銀河を駆け上がっていくだろう。だから…そう 2018年 いや ポップ・カルチャー宇宙の旅を逃すな!

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