EditingTellUs

マネーモンスターのEditingTellUsのレビュー・感想・評価

マネーモンスター(2016年製作の映画)
3.6
株とお金。それがデジタルで取引され、アナログな世界にいる我々には手の届かないところで浮遊しているみたいだ。

今日の映画は、ジョディフォスター監督のマネーモンスター。
世間の評価はあまりよくない。ありきたりな設定だ。予定調和が続くなど。
私のレビューはこう。
少しずつ明かされる事件の真相と、犯人の動機。それらが一つのゴールへと向かっていくことにサスペンス的ドキドキを感じた。

自分が経済の基本、現状を知らないというところもあり、まずなんの話をしているのか、なぜ犯人はそんなことをしているのかというのを解明していくことに前半は神経を使った。それゆえ、後半はそれが紐解かれていく様子がとてもリズミックに感じられた。
海外ドラマの24のように、ほとんどリアルタイムで描かれていく作品だからこそ、4つの視点が目まぐるしく入れ替わるストーリー展開に脳を休める暇がない。最後までドキドキできた。

90分で描かれる内容は、実際の数時間の事件の話。さっきも言ったように、そんな短い時間の中で、犯人・番組・警察・世間の4つの視点がスピーディーに変化していくから、本当に海外ドラマを見ているよう。

しかし、一つ違うのは、唯一キャラクターが明らかになっていくのは犯人だけ。なぜこんなことをするのか、彼に何があったのか、彼の生活はどのようなものなのか。このように、主人公ではない、いわゆる適役(antagonist)のキャラクターが明らかになっていくため、視聴者の感情は徐々にその犯人のものと一致していく。同情という言葉も当てはまるような、感情移入がおきる。

それがあるから、45分13話ではなく、90分1本の映画が出来上がっているのだ。絶妙なバランスの脚本と、それを実際にスクリーンに映し出した編集の力はとても大きかったと思う。

90分飽きることなく見ることができる作品です。
EditingTellUs

EditingTellUs