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セトウツミのgogotakechangのレビュー・感想・評価

セトウツミ(2016年製作の映画)
4.0
若い頃は、何か大きなものを抱え込んでしまっていても、傍らの友人とバカ話をすることでなんとなく心が治まったものだ。それは若さの特権だと思っていた。

ところがエゝ大人になってからも大して変わりなく、辛かったり苦しかったりするのは喉元すぎるまでのほんの短い期間だということは年齢に関係ないことに気づく。

話す相手との距離が遠ければ遠いほど赤裸々な告白をしてしまいがちだということは、酒を飲み始めてからつくづく感じるようになった。とまり木で隣り合った見ず知らずの人と長々と身の上話をしてしまう事の快感は、もう二度と合わないから、その後の繋がりのしがらみを考えなくても良いからこそ得られるものである。

しかし若い頃は厭でも次の日クラスで顔を合わせるし、あと数年は同じ釜の飯を食わなければならないために、だいぶ面倒くさいことになったりする。

ただこの面倒くささこそが、人とのつながりを強くする一番大切な事なのだ。

何気ない会話の中に相手の表情を読み取り、何気ないふりして気を遣い言葉を選ぶ。そうやって自分が何者なのかをさぐっていく。

それは話しの内容に関係なく、とてつもないバカ話だったにしてもだ。

そんな面倒をかけられる相手が、大人になるとホントに少なくなっていく。

最近痛烈に感じるようになった。
この作品を見て改めて実感。
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