ほーく

マーズ・アタック!のほーくのレビュー・感想・評価

マーズ・アタック!(1996年製作の映画)
3.8
基本的に、パロディとブラック・ジョークは好きだ。ただ、これは個人的な好みが極端に反映されるのでお薦めできるかどうかとなると微妙となる。この作品は公開された時期がまた絶妙だった。つまり、かの「インディペンデンス・デイ」@ローランド・エメリッヒ監督(以下、「ID4」)とほぼ同時期だったのである。同じ、火星からの地球侵略ネタ。にもかかわらず、かたや大まじめ、かたやフマジメなのである。「ID4」自体もそれだけで多くを語れる爆笑映画なのだが、それを観た後にこの作品を観たわたしと友人は、居酒屋で大笑いしながら酒を飲んだものである。
 パロディ論をここで展開するには適切ではないのだが、パロディの演出として、極端なイメージ化が成功のカギを握ると思っている。で、この作品。先行した「ID4」ばかりでなく、トレーディング・カードや、「宇宙戦争」がすでに持っているイメージを簡潔にかつバカバカしく映像化している。ティム・バートン作品の特徴がここでも存分に発揮。鮮やかな原色の配置。アメコミ調デザインの、火星人の容姿・武器・宇宙船、ステロタイプなデザインの軍服・軍事施設内の会議室。ジャック・ニコルソン、ダニー・デ・ビート、ピアース・ブロスナン、マイケル・J・フォックスをあっさりあんな目に遭わせる贅沢なキャストの使い捨て。レトロ調のダニー・エルフマンの音楽との調和。強引な懐メロの使用などなど。
 多くのパロディ映画がそうであるように、それほど大層なメッセージ性はない。しかし、ここまで直近作品(「ID4」)をねらい撃ちしたアンチテーゼ的なパロディを観たのは初めてである。
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