KnightsofOdessa

ヴィニールのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ヴィニール(1965年製作の映画)
2.0
No.431[グッダグダの「時計じかけのオレンジ」] 20点

ウォーホルの中で唯一掲載されているのだが、短いから喜ぶべきなのか入手困難だから怒るべきなのか感情が定まらないのが辛いところ。彼は寝てるおっさんを6時間も延々と写し続けた「スリープ」とかエンパイアステートビルの外観を8時間も延々と写し続けた「エンパイア」など"パッケージ裏のあらすじだけでいい"ような実験映画を量産していたため、"死ぬまでに見て"欲しいとなると短いから本作品に軍配が上がるんだろうか。

本作品は「時計じかけのオレンジ」に緩く基づいている。理由は版権関係の問題で製作当時はミック・ジャガーが映画化の権利を持っていたためであり、ウォーホルは書き換えられた脚本を手にしたが、それも屑籠に放り込んで演出も拒否したせいで俳優女優が1時間にわたってグダグダの演技を見せる。動きのある「スリープ」の1時間版である。こんなもん、睡魔と格闘するまでもなく敗北するわ。

しかし冷静に考えてみると"1001の映画"の本って追って見てみるとスタン・ブラッケージ、ケネス・アンガー、ジェームズ・ベニング、マヤ・デレン、ケン・ジェイコブズ、マイケル・スノウなど実験映画の大御所たちの作品を一つだけでも触れられるという点で優れているのではないか。だからこそジョナス・メカスがいないのが本当の謎だが。

ウォーホルはあと「チェルシーガールズ」だけ見て引退してもいいかな。
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