成川ジロー

マグニフィセント・セブンの成川ジローのレビュー・感想・評価

マグニフィセント・セブン(2016年製作の映画)
4.4
リメイクだけど、リメイク元の『荒野の七人』よりもこっちの方が好き。多分『七人の侍』はリメイクしても元を超える面白さを備えることはできない。完成度が高すぎるってのが勿論あるのと、ジャンルとして時代劇は撮影技法やVFXの進化があっても差が出るものじゃない、生身ありきのものだから。『七人の侍』と違って『荒野の七人』はガンアクション映画だから時代が違うとクオリティにかなり差が出る。それが良い方向に転がったと思う。あと個人的には微妙だと思っていた物語や設定、キャラクターが今回だいぶ改善されていたと感じた。
何よりもキャラクターが素敵過ぎる。これは自分が今の時代の人間だからかな。ユル・ブリンナー、スティーブ・マックィーンを見て格好良いと思うけれど好きになるほど彼らをスクリーンで見てないからね。
デンゼル・ワシントンのサム・チザムなんて最高にシブくて強くてラストの早打ちの後の体勢とか美し過ぎて格好良くて最高。馬に乗って体勢を入れ替えながら横の敵に撃ったりするのメチャクチャ格好良い。個人的な恨みが動機になってたのはやめた方が良かったかもしれないけど。まあその方がすんなり入りやすい気もする。そのことを知ってるの本人とボーグだけっぽいし。
クリス・プラットのファラデーなんて一見軽薄そうなんだけど決めるところは決めるメッチャ良い漢で最期の活躍とか格好良すぎて泣けるしムードメーカーで最高。グエロって陽気な二枚目ってことか?って台詞も最高。妻と愛人をメンバーに紹介するところも最高。
イーサン・ホークのロビショーとかこれもまたシブくて人間的な弱さが素晴らしく魅力的で最後戻ってくるところとか最高オブ最高。死に様も最高。
イ・ビョンホンのビリーとか何もしてなくても格好良いのに拳銃もライフルも使えるのに走って行ってナイフで切りまくるし投げまくるし戻ってきたグッディーとめっちゃ嬉しそうに目を輝かせて「戻ってくるのわかってたぜ!」っていちゃつくところとかもう最高過ぎる。
ヴィンセント・ドノフリオのジャック・ホーンとか昔凄惨な体験をして少しおかしくなってしまっているけど根がとてもとても良いやつってのを全身で表現してて最高だし、面倒見も良くて人好きで敬虔深くてライフルあんまり使わないで斧で人を叩き殺すのも最高。最後に守ったテディにライフルが受け継がれてたの地味に良いよね。
マヌエル・ガルシアのバスケスも流れ者感が最高で凄い悪ぶってるんだけど多分中身そんな悪い人じゃないんだろうなって感じが凄く好きだし。ファラデーと憎まれ口を叩き合いながらもファラデーが負傷したとき真っ先に気づいて心配するところとかもうほんと最高。
マーティン・センズメアーのレッドハーベストも……まあ他の人程最高って褒める部分無いんだけど全然悪くなかったよむしろ良かったよ笑
この七人のグループが凄い良い。戦争での敵軍同士だったり、賞金稼ぎとお尋ね者だったり、インディアン狩りしてた人とインディアンだったり、本当にバラバラ。敵対すらしていた。でも皆居場所のない人間。そこが良い。
紅一点的なヘイリー・ベネットのエマも良かった。戦えるキャラにして正解。もとみたいに若いガンマンと恋に落ちるみたいのしなくて本当に良かったよ。まあ今回若いのはインディアンくらいだし、ちょっと良い感じになってたのはファラデーで、あれくらいの描写はちょうど良かった。

とまあとにかく最高が沢山詰まった映画でした。
「俺の見たかった『荒野の七人』」になっていた。
罠を仕掛けて大軍勢を迎え撃つのもライブアライブっぽくて良かったな。
まああんな距離にガトリングガン一丁あってもそんなに脅威にならなそうだけど、細かい野暮なツッコミは割愛。

大好きです。
成川ジロー

成川ジロー