カレーライス

マグニフィセント・セブンのカレーライスのレビュー・感想・評価

マグニフィセント・セブン(2016年製作の映画)
1.0
ファンの皆さんごめんなさい。
自分は全然ダメでした。
というか、この監督の作品はたぶん全部合わない。

数年前にあの名作小説『極大射程』がハリウッドで映画化されると知って『シューター』を鑑賞。
あまりのB級ぶりに「やってくれたな」とガッカリしたのを皮切りに、最近『イコライザー』を鑑賞。
『ボーン』シリーズ大ファンな自分は元CIAスパイものということで期待したが、これまた大いに裏切られました。

そもそも七人がどうして徒党を組んで町を救うために立ち上がったのか全然わかんなかったです。
他の人のレビューで「死に場所を求めた男たち」ってあったけど、ま、西部劇だからそうなんだろうけど、そうした心理描写あった?
ところどころ登場人物が打ち明け話するんだけど(昔、嫁子供がいたとか)、唐突だし、で?って感じ。

ここに関しては、レビュー高評価の皆さんマジで黒澤明『七人の侍』観てくださいね。
前半の七人集めるドラマがあるから、要所要所で登場人物達の人柄が垣間見えるからこそ、終盤の決闘シーンに感動するんですよ。
教科書ですよ。
模範解答。
『七人の侍』が世界最高の映画と言われ続ける理由が、『マグニフィセント・セブン』を観て改めて理解できた。

要するにこの監督の『正義』とか『勧善懲悪』って一方的でしよ。
デンゼル・ワシントンは『イコライザー』でも皆殺し。この『マグニフィセント・セブン』でも超人役で敵を皆殺し。
これって敵役の立場から考えたら大悪党はあんた(デンゼル・ワシントン)だろってなるでしょ。
ちなみにそこの矛盾を追求して描いた西部劇の名作がイーストウッドの『許されざる者』。
許されざる者、とは誰のことを言ってるのか?
イーストウッドは自分がさんざん演じてきたヒーロー像に自分で問題提起してるんですよ。

アメリカが911以降イラクに攻め込んだ理由とか動機もきっとこの程度の正義感なんだろうな、と妙に納得しました。
正義って、それぞれの立場(アメリカ、イラク、それぞれの宗教観とか)で存在するし、それが対立するから悲劇になるわけで。
でもこの監督の作品には、そうした立場の違い、相対的な価値観のすれ違い、とか一切描かれない。

この映画の悪役はちっとも悪になりきれてない。
ぜんぜん冷酷非道じゃない。
本当の悪党なら最初からガトリング砲使って町人皆殺せば良くない?
それができないんなら、教会燃やすとかじゃなくてうまく町人懐柔しろよ。
中途半端なことやってるから復讐とかされるんだよ。
マネジメント下手っぴ。

きっとミュージックビデオでスタイリッシュな映像を撮れるとこが評価されて、ハリウッドで映画を撮るようになったのだろうから、この監督に作家性とか期待するのが間違ってるのかもしれないですけど。
たしかに黒澤明もヤクザには一切共感などしてなかったですが。

あとこの監督の演出で納得できない点がヒロイン。
『シューター』でも『マグニフィセント・セブン』でも感じたんですが、ヒロイン役がやたらセックスアピールな出で立ちなんですよ。
なんで?
胸元おっぴろげでオッパイ飛び出るんじゃないか?って衣装なんですけど、これ西部劇ですよね?
彼女娼婦なんですか?
夫を悪党に殺された未亡人なんでしょ?
あんなに上半身はだけて馬乗ってたら日焼けで大変なことになるぜ、ってそこばかり心配してました。
しかもアイルランド系の色白ソバカスな女性が西部の荒野だよ。
熱中症確定だろ!
とかいろいろツッコミどころ満載で集中できなかった。
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