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ベイビー・ドライバーのAKのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
2.6
『ベイビー ドライバー』をシネマシティ極爆で観た。

①エドガー・ライトの新作で、
②同時にご機嫌な音楽映画でもあり、
③ケヴィンスペイシーが悪役を演じる

この3つが組み合わさるなんて最高じゃん!と楽しみにしていたが、①としても②としても③としても全部が微妙だった。いや、面白かったけど、ねぇ… 以下、ちょっと細かく書くと

① 所詮俺はエドガーライトを過去三作(ホット・ファズ、ヒッチハイク、スコットピルグリム)しか観てないが、その三作に共通するのは「過剰なくだらなさ」と「過剰なユーモア」だった。この「過剰さ」がエドガー節の肝だと思っていたが、本作ではその「過剰さ」が排除されてしまい、代わりに「過剰なまでの音楽の前景化」と「過剰なまでのカーチェイス」が導入される。結果として、「おしゃれ」になってしまっている。それがダメだ、と言っているわけではない。でもそこにエドガー・ライト節はない。

② スカイ・フェレイラがベイビーの母だったり、レッチリのフリーが共犯訳で登場するなど、とにかく音楽がずっと鳴っている映画である。そのセレクトも絶妙で、とにかくセンスがいい。が、じゃあ聴くけど、「このシーン最高だな!」ってのあった? 俺はなかった。『シング・ストリート』での"Drive like it stole it"や、『ロスト・ハイウェイ』での”This Magic Moment”、『はじまりのうた』の葬儀シーン、直近で言うならミニオンズ最新作でのファレルなど、映像と音と物語がシンクロするマジカルなモーメントというのが、残念ながら一瞬もなかった。「おしゃれだね」以上の何かがない

③ ケヴィン・スペイシーの設定がガバガバ。『ユージュアル・サスペクツ』かと思ったわ。笑えるシーンが「モンスターズ・インクの台詞はやめろ!」しかないだなんて、そりゃないよ

散々①②③の文句を書いたが、結局のところプロットが粗すぎる。どこまで書いてどこまで書かないかの線引に失敗し続けている。『ホット・ファズ』の共同脚本家を連れ戻して次回作は作ってくれ。たのむ。
AK

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