わたがし

ベイビー・ドライバーのわたがしのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
5.0
 音楽に合わせて車が踊ったり跳ねたり、音楽に合わせて銃弾が飛んだり跳ねたり人が死んだりするのは観ててすごく気持ち良かった。
 それにしても物語が本当に個人的にどうでもいいというか、全く刺さらなすぎてびっくりしたんだけど、照明とか美術とか一瞬一瞬の動きを的確に捉えるカメラワークなんかが大好きすぎて2時間飽きずに観ていられる。カーチェイスのシーンはやっぱりむちゃくちゃテンションあがるし、エドガー・ライトの映画はいつもそうだけど人が死ぬ時はちゃんとたくさん血が出るのが好き。
 今ちょうど映画撮影真っ只中なので「この1ショット撮るのにどれだけの労力と時間が掛かったんだろう…」みたいなことを普段以上に思ってしまって、本編とは全く別の部分での感動があった。そしてやっぱりどんな映画でも映画は映画であるという時点で最高に素晴らしい、映画館で映画を観ること以上のしあわせはないなと思った。
 リリー・ジェームズはやっぱりバチバチに存在感があって、芝居が上手いとか下手とかそういう次元を超えて惹きつけられる魅力がある。こういう役者を観たくて映画を観ているし、こういう役者を撮りたくて自分は映画を撮っているのだなとあらためて思ったし、どんなに技巧にまみれた最高級の芝居でも「人間そのものの存在感」には絶対に勝てないのだなと思った。その「人間そのものの存在感」というのはやっぱり普段から何を考え何を志して日々を生きているかの蓄積なのであって、きっとリリー・ジェームズは普段から何かとてつもないことを考えながら死体とか食べてるんだろうなと思った。でないとあんな存在感は出せないと思う。
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