恭介

ベイビー・ドライバーの恭介のレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
3.8
微妙に遅れて公開されたので迷わず鑑賞。

監督のエドガー・ライトはアントマンの件もあったので、この作品が評価的にも興行収入的にも成功してくれたのはファンとして嬉しく、また、監督の過去作品とはちょっと系統が違う感じなので楽しみにしてた。

個人的に観終わった感想は、現在の寓話、おとぎ話みたいな、純愛ファンタジーみたいな感じ。そう考えるとベイビーは幼少の頃に事故でママをなくし、トラウマを抱え堕ちたヒーロー。
ヒーローは特技の1つでもなきゃいけない、それが驚異的なドライビングテクニック(笑)
ある日、天使のような彼女が現れ一目で恋に落ちる。

それを機に仕方なしとはいえ、悪事に加担していた過去を捨て、彼女と違う人生を歩もうとするヒーローの再起の物語。

天使は歌いながら彼の前に現れる。
ヒーローである彼は幼い頃、守れなかった歌手のママの姿を彼女にダブらせて、今度こそは守ってみせる!と、シャカリキになる。

ヒーローを覚醒させるきっかけとして、彼女とは対極の極悪人ジェイミー・フォックスも重要な存在。ここでもヒーローは過去のトラウマであるもう1人の存在、父親とダブらせているのではないか?

登場人物の名前がみんなコードネームなのも寓話的。主人公がなんせ、ベイビーだし(笑)

そう考えると自分の中で、現実に沿ってリアルに描いているようにみえて割と狡猾無稽な物語も納得出来る。2人が一瞬で恋に落ち、お互いの事をほぼ、知らない間に非現実的な世界を目の当たりにしても、彼について行く彼女の行動心理がなんとか説明がつく。だっておとぎ話だから(笑)

全編を通して流れる非常に魅力的な歌の数々は単なるBGMとしての役割じゃなく
シーンを語り、出演者の代弁でもあり、また過去のトラウマを表す役割を担っている。しかし、ミュージカルとは全く違った趣に仕上がっており、凡例なカーアクションムービーとは違う作品に仕上がっている。

過去を克服し、新しい人生をともに歩みだす2人。爽やかな余韻を残すラストも後味が良く、エドガー・ライトの今後の作品も待ち遠しくなった。
恭介

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