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ベイビー・ドライバーのkouのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.0
《最高にクール》
最高にクール、この言葉がこの映画には一番合うかもしれない。映像と音楽のシンクロ、ミュージカル・カーアクションという観たことのない新しい映画を映画館で見れることの興奮に包まれた1時間50分だった。監督エドガー・ライトの新作にして、とても大衆向けであり、エドガー・ライトらしさもあり、のれる映画でありながら、感動的でもある素晴らしいエンターテインメント作品だった。

音楽と映像のシンクロは、冒頭部分からいきなり始まる。というかこの映画全体で音楽とシンクロしていないときのほうが無いくらいだ。ゲッタウェイ・ドライヴァーをするベイビーと、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンのベルボトムが完全にマッチする。この快感、この心地よさ、これはもう体感的な映画でもあると思う。

その快感は、タイトルの後、ベイビーが珈琲を買いに街を歩く場面でも現れる。ボブ&アールの「ハーレム・シャッフル」に合わせてベイビーが曲に乗りながら歩く場面は、音楽と自分が一体になった瞬間を饒舌に表現している。クイーンのBrighton Rockにしても、Tequilaにしても、観ていてとても心地いいのだ。何よりも音楽への愛が感じられる。これはとても素晴らしい点だ。

そんな心地良いのは映像だけでなく、ラブストーリー的な側面を持つところだろう。主人公とヒロインのとても淡い恋愛がロマンティックに描かれる。ベイビーの語らない、シャイな部分も相まって、彼の行き先をずっと観てしまう。

また、この映画の素晴らしいところは、体感的で、とても風通しが良い内容でありながらも、ラストはしっかりと対価を支払うところだろう。ただのアクション、何も考えなくていいアクション映画とは違い、しっかりと着地させる。そういう意味でも、爽快感がありながら、納得もできる作品になっているのではないか。最高にノレる、楽しめる映画だった。
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