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ベイビー・ドライバーのTEPPEIのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.6
エドガー・ライト監督の本格的ハリウッド進出作として全米では興行的にも批評的にも大ヒットし、続編も始動した「ベイビー・ドライバー」を鑑賞した時、真っ先にエドガー・ライト監督作のなかで一番面白いかもしれない…と思った。これまで音楽とシンクロする演出、作風、スタイルはあったが既存の作品でここまで細かさは無かった。なぜ、コーヒーを買うシーンが必要なのか。「ステディカムでワンショットで撮影するから」と天才かエドガー・ライト。アクションであり、サスペンスであり、ロマンスもあり、青春コメディもあり様々な要素があるのにばらつきがない。スリルそのものがこの作品を活かし、さらにはサウンドトラックが質を上げている。ベイビーを演じたアンセル・エルゴートはとても表情が豊かで、作品の持つエキサイティングな部分とのマッチングが心地いい。緊張感と緊張感の間のほぐし、キャラクターの内面の面白みも全てエドガー・ライトの狙い通り。しかもこの映画、撮影時には実際に作中使用の音楽を流しながらワンシーンワンショットを撮影しているので、ケヴィン・スペイシーの演技が本当にビートを刻んでいてめちゃくちゃ面白い。ジェイミー・フォックスやジョン・ハムなんか熱演じゃないか。ベイビーandデボラの純粋なラブストーリーパートは遊び心満載。洗濯物の色ひとつにもこだわり、振り付けには不規則な動きによるユニークなミュージカルのような表現、たまに「バッカでぇ笑」と思えるシーンも名物。リリー・ジェームズとのシーンはいつも見応えがあって、ヒロインの存在感は圧倒的だった。
総評として「ベイビー・ドライバー」はエドガー・ライトが長年温めてきた企画をうまく作用させ、それでいて純粋に面白い映画になっている。
なぜコーヒーを買うシーンが必要なのか? ヒロイン、デボラを見かけるシークエンスとベイビーの運転ぶり後に見るこの転換こそ理由になってるじゃないか。面白かった。
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