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ベイビー・ドライバーのKKMXのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

極上の音楽映画との評判を受け、音楽映画好きとしてスルーできず鑑賞。音楽とカーアクションがシンクロすることでこれほどにもスリリングになるのかと感動しました。
アクションには元々興味がない自分も、本作品はバッチリ楽しめました。

特にオープニングのジョンスペと、それに続くハーレムシャッフルの長回しはズバ抜けて凄い!ギアとかドリフトとかまできちっとシンクロされると、非常にアガります。
ダムドのニート・ニート・ニートをバックに襲撃するパートもなかなか熱かったです。(ギャングのひとりにレッチリのフリーが登場していてびっくり)
クールダウン気味に随所随所で使われる古くてメロウなR&Bもとても美しかった。

しかし、後半はテンションが下がってしまった。クライムサスペンスがメインとなり、シンクロによるテンションも落ちてしまったように思います。クライムシーンと音楽のシンクロはカーアクションよりも相性が悪いのかも。
クライマックスに用意されていたブライトン・ロックもシンクロ率が下がり、普通のバトルって感じで拍子抜けです。OPのベルボトムに比べるとかなり弱い。

とはいえ、逃避行から警察に投降する終盤の流れは秀逸だと思います。勢いに任せず、現実に足を下ろしていくようなベイビーの選択はなかなかグッときました。
逃避行の最中にかかる、ベイビーの母親が歌うEasy は個人的に本作品のベストトラック。ベイビー改めマイルスがムショから出るシーンは、柔らかい光とデボラの微笑みが、まさに困難を乗り越えた心の平穏を歌い上げたEasy の歌詞、Easy Like Sunday Morning だな、という印象を受けました。

アクション・音楽もさることながら、なによりキャラ造形がグレートですね。
まず、ベイビーがイノセントでチャーミング。里親に優しく接し続けるシーンがたくさん描かれているため、ベイビーの人柄が伝わります。
だからか、デボラとのロマンスやボスの心変わりについては、唐突さは否めないけど妙に腑に落ちるんですよね。根が優しく純粋なベイビーならばアリかな、と。
ベイビーという名前も、彼はトラウマに囚われて成長できなかったため、未だ純粋で幼いことを示唆しているのかもしれない。幼子には手を貸しますからね。

あと、登場する女性陣が総じてイケてますね。デボラはキュートな上に根性あるし。ベイビーと行動を共にするとか、気合入っていて魅力的です。ベイビーとコインランドリーで一緒にiPodを聴くシーンは、とても切なくて美しかった。
ダーリンもクールだけど情に厚く、しかもエロくて最高でした。あんな恋人が殺されたら、そりゃバディはキレますよ。

難点は、歌詞の対訳がひとつも出てこないことです。歌詞と場面のシンクロシーンもあっただろうし残念です。著作権がネックなのかもしれない。
重要だと判断した曲だけでも良いので、対訳があるとより深く味わえたと思います。
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