天下の超かぼちゃ王大将軍

ベイビー・ドライバーの天下の超かぼちゃ王大将軍のレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.2
「色んな人のツボを突く、一子相伝の秘拳」

粗筋。
そんなものはいらん。

■「新しいようで懐古」

昨年公開された映画のうち、
これはまぁ観とかないとな、と思ってた一本。

予告はあんまり刺さらなかったんやけど、
あまりに評判がいいので、観とこかなと。

・・・おもろいやないけ・・・。

いや、最初は正直懐疑的だったんですわ。始まってから数分も。

音楽と映像がシンクロする感じ。

オープニングの出足。

あぁ、これあれやな、懐古厨に評価されてる系のレトロコピー新規やなって。
最初はね。

確かに面白みのある尖った作品やけど、自分は刺さらんなぁってね。

割と中盤近くまでそんな感じがあったんですが、
なんやろ、どこからか分からんけど、グイグイと惹き込まれるて。

振り返ると、最後のミッションからかなぁ。

あれ?何このトゥルー・ロマンス感みたいな。

全然違うんやけど、感じたのはトゥルー・ロマンス的な匂いかなぁ。

音楽に合わせて映像がシンクロする演出こそやり切れば珍しいんだけど、
それは作品の演出の一部でしかなく、唯一の魅力ってわけじゃない。

他の要素は新しいというより、なんか色々懐かしい感じが多い気がする。

さっき挙げたトゥルー・ロマンスってのは個人の感覚やけど、
タランティーノやロバート・ロドリゲス的な懐古主義を感じる人もいると思うし、
ガイ・リッチーみたいなワチャワチャオサレ映画って感じもアリ。

トータル、色んな所で懐かしい感じを受けるツボを押してくるんよね。

個人的には終盤の、バカな男たちのバカな争いてきなさ、
そういうのやられると嫌いじゃないんだよね。

■「イギリス系か」

個人的に映画にしろ音楽にしろ、感性が凄く合うと思ったもののルーツは全部イギリス。
今作も、結局は振り返るとイギリス映画やねって。

って思ったら、監督のエドガー・ライト。
やっぱイギリス人。

これはもう感性やな。

好きな映画の殆どの監督がイギリス人。
なんやろね、このエンターテイメントに対する感性の凄さって。

エドガー・ライト自体は、「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」くらいかな、観たの。

面白かったけど、グッとくるところまではいかず。

普通の人はショーン・オブ・ザ・デッドなんやろけど。

けど、本作はやっぱりイギリス系の監督の何故か伝統的に引き継がれる匂いってのがあるんよね。

あまり対比とかはしたくないけど、タランティーノやロバート・ロドリゲスっていう、
アメリカ系の懐古臭って土の匂いがするような感じやけど、
イギリス系の映画監督は皆曇天の匂いってかね。

シニカル的と言うか、ネガティブと言うか、破滅的と言うか。
あっけらかんとしたところがなく、ちょっと女々しく、
ただ、フランス系のようにジメジメしてない感じ?

やっぱ映画にしろ音楽にしろ、イギリス系が生み出すもんはなんかツボやわ。

■「二度と出来ない」

ただ、本作の難しい所は、
これが面白いってなっても、他がまねできないって所かね。

真似したらそらパクリになるし。

エドガー・ライト監督自身も、この映画と同じ手法で別の映画撮るってのは、
この映画のらしさってのを殺してしまうし、無理やろねぇ。

出来るとして、続編しかね。

そういう意味では今後の取り扱いが難しい、
懐古的とかゆーたけど、個性的な映画でした。

面白かったです。

2017年の作品の中では、観ておいて損はない映画。