LalaーMukuーMerry

ベイビー・ドライバーのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
3.7
私の世代の男は、たいてい車の運転が好きで、私の知り合いにも今だにマニュアル車でなければとか、ダブルクラッチ、ヒール&トゥ(ブレーキとアクセルを同時に踏むワザ)で車をドリフトさせるテクニックとかを喜々と話す人がいます。そういう人にはこの作品のドライブテクの凄いカーチェイスシーンはかなりうけるでしょう。
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「ザ・ドライバー」「ドライブ」と似たような設定の、超絶ドライブテクニックの主人公。強盗現場で犯人たちを待ち、パトカーの追撃をことごとくかわして、無事逃がしてやるという、いわゆる逃がし屋。
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始まりはなかなかスリリングで、主人公ベイビーの人物プロットとか、恋に落ちる女性とのやりとりなど控えめな感じで、なかなかよかったのですが・・・。終盤あたりからプロのドライバーはやっちゃダメでしょ!と思うような全力疾走で逃げ回るシーンが出てきてちょっと興ざめ。
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とってつけたように時間を早回ししてハッピーエンドにしてしまうラストの感覚も、私にはちょっと受け入れ難いものがありました。罪の償いをして、幸せになったのだからいいじゃないって、そこまで観客はハッピーエンドに飢えているのだろうか?
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前述の2作品の主人公は、内に秘めたプロの誇りと、犯罪に加担しているという闇の世界の複雑な感覚が作品全体に漂っていて、それにふさわしい雰囲気の終わり方(決してハッピーエンドではない)なのですが、そんな感覚の方が私は好きです。
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残念ながら私はドライブテクにはとんと興味がないし、はやく完全自動運転の車ができないかと待ち望んでいる口です。ほとんどの車が自動運転の時代になったら、こんな作品もなくなるということになりますね。それもちょっと寂しいけれど・・・