台詞、ナレーション、その他の文字情報などの説明を使わず物を語れるというのは、
まさしく映画というメディアの特徴と言えるだろう。
この、「言葉や文字を使った説明」に頼らない=映画ならではの表現の限界に挑んだ傑作がまたアメリカからやってきた。
しかもまた、これが難解な話ではなく、大衆娯楽としての要素も満たしているのだから文句の付け所がない。
銀行強盗の逃し屋をやってる凄腕ベイビーフェイス・ドライバーは、無類の音楽好き。
言葉で説明してしまうと陳腐に聞こえるが、エドガー・ライトは映画冒頭の約5分の間に、
台詞も、ナレーションも、文字による説明もない中で説明仕切っている。そしてその5分がべらぼうにかっこいい。
そしてその饒舌な映像の連なりをドキドキしながら観てる我々はいつの間にか主役のベイビーに魅了され、
映画の世界に入り込んでしまうのだ。