ピートロ

バービーのピートロのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.3
思いのほかケンがフィーチャーされるが、「バービー世界」ではジェンダーが逆転しているので、ケンへの揶揄は現実世界の女性に向けられたものであり、かつその揶揄内容は現実世界の男性に向けられたものというナパーム弾システムにより一面焼け野原。
とあるバービー「(目を覚まして)ずっとザック・シュナイダー版『ジャスティス・リーグ』を観ているような気分だったわ」
とあるバービー「(ケンに『ゴッドファーザー』を)最初から解説して❤️」に吹いた。

他のユーザーの感想・評価

Taku

Takuの感想・評価

4.0
「男性を必要としない〜」ではなく、構造への批判と主体的な生き方肯定した、より本質的なフェミニズムを描いていたのでは。というのも含めテーマも演出もグレタ・ガーウィグらしい作品で、娯楽性もちゃんと担保されていた。ただ、大作映画に付随する欠点も見え、監督の過去作の方が好み
Eri

Eriの感想・評価

-
映画に集中できないくらい隣の人たちがうるさかった、注意するべきだったかもだけどお酒入ってたしそれ以上にうるさくなると嫌だったから何も言えなかった
RUKA

RUKAの感想・評価

3.6
まずキャスティングの良さを褒めたい。
マーゴットロビーの演技が隅から隅まで超キュートすぎて容姿だけじゃなく全て引っくるめて実写版バービーはこの人がぴったりだなぁと感じた。
ゴズのケンも本当に最高〜〜〜!
個人的にはセックスエデュケーションメンバーが3人も出てて大沸き上がり。
噂ではティモシー・シャラメとシアーシャ・ローナンちゃんがカメオで出る計画もあったらしく、実現はできなかったけどぜひ見てみたかった!

最初実写版バービーをグレタ・ガーウィグ監督が撮る、しかもノア・バームバックも脚本に入るって聞いた時点で、大好きな2人だから自分の中の期待値が超上がって、絶対間違いないって思ってたから、正直言うと少し期待しすぎたかな?っていう感想。

毎日がハッピーで全てが可愛くて完璧、終わりなんかないバービーランドでふと死が頭をよぎったバービー、そこから完璧な毎日が一変していく。
私たちがいる現実世界の話で、元々女の子用のおもちゃっていうと赤ちゃんの人形でお世話するっていうのが主流で、いわゆる子育ての疑似体験みたいなものだったのが、バービーが登場してからはファッショナブルで、女の子達が将来親になること以外の可能性が広がった。
かと思えば、映画の中で人間界に行ったバービーは女の子たちにファシスト扱いされてしまう。
この映画は最初から、バービーランドそのものを肯定はしていない。単純にバービーランドと人間界で男女の権力が逆だ、だから良い悪いって言ってるわけでもないと思う。

バービーがベンチで会ったおばあさんに、美しいと伝えたように、若くスリムで常にヒールを履いてるのが1番ベストとは限らない。
グロリアが新しく考えて描いたバービーのように、毎日が完璧じゃなくても落ち込んだりセルライトがあったりぺたんこ靴を履いててもいい。
ケンもそう。男らしさに支配されなくても、ピンクを纏ってもいいしゴッドファーザー観てなくてもラブコメが好きでもいい。
常にそれぞれが自分らしくいられるスタイルが1番で、それを他人にとやかく言われる筋合いはないってこと。

最初に書いたように、期待してたからこそ脚本にちょっとん?と思うところも多々あったけど、俳優陣の完璧な演技は最高でした。
もし自分がバービーランドに行ったら、ケイトマッキノンの右腕になるし。絶対の絶対の絶対に。
思ってた場所と違っていた人間世界の描写がまるで少ないし、そこから持ち帰った価値観でバービーランドが男性社会に染まるのも早すぎる(単純すぎる?)。女性男性関係なく、誰かを下に見るのが自分の尊厳を守る事ではない…という当たり前すぎる主張を、しかもそれをほぼ台詞だけで終わらせてしまったのがなんとも残念。
なにかになってもいいしなににもなれなくてもいいって、なんかすごくふわふわしてる。
Frankie

Frankieの感想・評価

3.3
結構評判よかったから期待高かったけど、好みじゃなかったなぁ。途中で退屈しちゃうとこもあったし。残念。
もちろん部分的には楽しめたし笑えたしグッときたとこもあるんだけど、うーん、まずセリフで色々説得されるのも鬱陶しかったし、あのかっこいい娘ちゃんがなんか急に聞き分けのいい子になってるのも拍子抜けだし、男性幹部の鈍臭いとこもしつこくて鼻につくし、アランをうまく使ってくれるはず、という期待虚しく結局は単純な男女の対立構造に終始してた(と私には思えた)のも納得感弱いよなぁ。
ライアン・ゴズリングは軽やかでやっぱりいいな、ってのと、ケンNo 2がアジア系なのが今のハリウッドの勢力図を表してるようで興味深かったです。
この作品を通じてグレタ・ガーヴィグやろうとしたことには、100%同意したいし、120%の意思をもって自分のものとして受け止めたいと思う。素晴らしい映画だったと思う。

まず序盤、サーシャがバービーに言い放った言葉ーー「なりたいものには何にでもなれる」と女性の可能性をエンパワーするバービーの理想・メッセージが、何にもなれない、平凡で、大して美しくもない「自分」という現実を照射する呪いとしての側面を持っていることを指摘し、大量消費によって加速され、下支えされてきたアメリカンカルチャーの理想と夢の裏返しとしてのさまざまな罪を糾弾する場面から、グッとアクセルが入り、冒頭の夢見心地の映像世界をぶち壊すようで最高にスリリングだった。

バービーランドでは徹底して添えもの扱いで軽くあしらわれていたケン(現実世界の女性を入れ子状にメタファーしているのでしょう)が現実世界で「男の世界」に触れて反動的にミソジニー/マッチョイズムに一直線に駆け出す展開も強烈に風刺的で最高におもしろい。一方その裏返しとして、この映画で「バービーの世界」に触れてミサンドリーに傾倒しないように、と釘を刺しているようにも受け取れてグレタ・ガーヴィグは最高にクレバーだなとも思った。

現実世界の前提となっている男社会の愚かさや中身のなさ、鬱陶しさを、カウボーイ的な男の悲哀全般、あるいは西部劇など文化までをも含む象徴としての「馬」(そして不意に思い出されるクリント・イーストウッド…)、車、映画、官僚主義、ヒエラルキー、マンスプレイニング、スポーツ、シンセサイザー、歌とギター…など、さまざまなモチーフを用いて、笑いとともに(主に男性の)観客に突きつけ、反省と羞恥で打ちのめすと同時に、「人に好かれようとする女を見たくない」など男社会に洗脳されたバービーランドを解毒するためグロリアによる「男社会での理不尽な女性像の言語化」を徹底して行なうことよって、作品のメッセージを強固に、しかしながらチャーミングに提示していることにとにかく痺れる。

女性の可能性とそれぞれの固有の美しさエンパワーしたうえで、「自分であることを取り戻す」というメッセージ、特別でも、何者でもない人の存在を肯定して「自分自身でいられること、自分らしくいれることの幸せ」を提示する姿勢も本当に素晴らしかった。序盤、人間社会に触れたバービーが、老婦人との会話によって「老いや死も含めて生きることの美しさ」に心を打たれているシーンも感動的だったし、それを回収するような「人間として生きていく」と決めたバービーの選択もただ美しいの言葉に尽きる。

もともとバービーランドは完璧な夢の世界だったわけだけれど、そこに「不和」がなかったわけではないことも重要だと思う。ケンのバービーに対する所有欲と独占欲、見栄や競争心が存在しているわけで、女と男が存在している以上、「争い」のない世界は根本的にありえないということを示唆されているようにも感じられて、その点を深く考えさせられてしまった。すべての争いの原因は男性、あるいは男性性である、と言い切ってしまえれば楽なのだけれど、その立場をとってしまうと種としての存続が危ぶまれてしまう。男である自分はそれでもいいし、自分含め男がすべて悪いと思ってしまいたいものなのだけれど、そうはさせてくれなかったことによって、『バービー』という映画は自分の心に深く残るものになったような気がしている。

地位や権力、お金、あるいは酒やドラッグを含む資源やエネルギーが存在していないか、さほど重要視されない社会であっても、老いや死、変化、つまり時間の観念がそもそも存在しない世界であっても、女と男が存在しているだけで争いの種が存在するという視点は、現実世界に向き合う上でも重要な示唆を与えてくれるように思う。

グレタ・ガーヴィグは「自己認識の欠如が争いの原因」と明確に作中にセリフを織り込んでいることからも、誰もが「自分であることを取り戻す」ことのできること状態こそが戦争を含めた争いのない世界のために必要なことだと考えているようにも受け取れたし、自分はそう受け止めた。フェミニズムの現在を含めそこまでのことを考えさせるだけの作品性を磨き抜きながら、このメッセージが切実に必要な人(男性中心主義、男性社会の快楽に浸り切った人)にも届きうる可能性を十二分に確保した「娯楽映画」の体裁でこの作品を作り上げたことが本当にすごすぎる。

そして鑑賞後しばらく考え続けたのは、シスジェンダー男性の自分にできることは何かということで、それは争いを生まないこともそうだし、すべての争いを終わらせるための努力をすることなんだろうなと思った。グレタ・ガーヴィグさん、ありがとう。
笑っていいのか、怒っていいのか、感情がジェットコースターみたいになった。
記憶に残る一作でした
けん

けんの感想・評価

3.0
色彩はきれいでした。

バービーっていろいろいるんですね。

男性も女性もなく人間は多種多様だし、悩んだりいろいろよね。

映画の演出としては好みではなく、主張もあまり?かな。
Taisei

Taiseiの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

「らしさ」への抵抗をビビットなバービーの世界で描く事の意味。男女関係なく社会から要請される枠組みに対しての窮屈さ、苦しさを感じていていることを描いてくれてありがとう...という気持ち。何度か頭を抱えながら、自分にもグサグサ刺さりながら、2時間あっという間でした。自分が自分であることを受容できること、そんなことを祈らないといけない社会グロいな...。
予想より攻めてるな、と思った。なんでそう思うか自分なりに考えると、テーマはシンプルなのに対し、エピソードの要素が多いからじゃないかな。で、様々な立場の人を思いやると、たくさん入れた方が分かりやすいんだろうな、今はまだ※と感じた。

マーゴット・ロビーが期待を裏切らない良さなのでケンには言及しないでおこうと思ったが、触れないわけにもいかず、私は彼がリアルワールドから持ち帰ったものは、男性優位の思想そのものではなく、通りすがりの人に時間を聞かれた体験や、図書館の本で得た知識(それが偏っていたのだろうけど)だと思うから、興味深かった。

あと、大統領バービー(学者バービーだったかも)が、「ケンにビール運んでいると、何にも考えなくていいから楽だわ〜」っていうのも笑。

でも、バービーランドで母娘の確執や、サーシャのファッションセンスまで変わるのは、やり過ぎかも。そこは、未来の可能性を示す程度に抑えた方が私は好み。

※今はまだというのは。娘&中学生の姪っ子と一緒に観て、難しいかと思いきや、普通に面白かった!と言うので、どこが良かった?と聞いたら、「うーん、アラン?」とのこと。考察も解説も不要で、次世代のしなやかな変化を確信した。
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