まめまめちゃん

アイリッシュマンのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.3
牛肉を運びながら一部を横流ししてチョロまかすなんてちょっと笑える仕事ぶりのフランク・シーラン(ロバート・デニーロ)。トラックが故障し、入ったスタンドにいたラッセル(ジョー・ペシ)に助けられる。手広く商売の元締めをやっていたラッセルの依頼する仕事を愚直にこなしていくうちに、その筋の人物たちから絶大な信頼を得ていく。全米トラック組合の会長ジミー(アル・パチーノ)とも親交があったフランクだったが、詐欺罪で刑務所にいたジミーが出所してからの様々なトラブルの板挟みとなり大きな事件に発展する。やがて皆は歳をとり、フランクも例外ではなく…。

210分!残念ながら最後の30分ほど(展開が変わってからが)私の集中力がやや途切れてしまったけれども…
こんな大御所俳優だらけの男たちの物語にこれだけの尺を使われてるせいなのか、とある仕事もそれで得たものにも説得力があるってものだ。そこら辺の気のいいおじさんの風体で、足がつかない見事な仕事ぶり。会話シーンはやはりいい人感出しつつ勘のいい男を演じるロバート・デニーロ。大物オーラ全開の最中に刑務所に入った数年後に足元をすくわれ小者感を出すアル・パチーノ。ちっちゃな老人なのに座ってるだけでもの凄くヤバイ空気を醸すジョー・ペシ…ヤクザ映画ってとかくアクションとかガジェットとか人情とか度を超えた暴力とか何かに極端に振り切ることが多いけど(好きだけど)、全てが品良くバランスよく入っている。ヤクザ映画というより、ヤクザ稼業に勤しんだ男たちの半生を丁寧に描いた映画だった。

ただ実在するとは言え、家族も恋人も捨てるみたいな潔さがなかったフランク・シーランが不思議だったな。あんな仕事やっててよく娘に取り入ろうとするもんだ。「運び屋」でイーストウッドがやってた爺さんみたいだったな。あの時代の男も甘ったれで、そこが人間臭いとも言えるかな。

劇伴も聴き応えがあった。エンドロールで流れてた曲はもう3回は聴きたいと思うほど良かった。サントラがあればいいけどなあ。