名優ロバート・デニーロとアル・パチーノの共演といえば、マイケル・マン監督の映画『ヒート』を思い出します。男の生き様と銃撃戦が素晴らしく、大好きな作品でした。
本作はハーヴェイ・カイテルも加わり、監督がマーティン・スコセッシとあって、いやがうえにも期待してしまいます。
何でも『ゴットファーザー』でスコセッシがフランシス・フォード・コッポラに監督を代えられてしまったことが心残りで、デニーロとアル・パチーノに声をかけたのが始まりだそうです。
そして、引退していたジョー・ペシを口説き落としたところに、ハーヴェイ・カイテルが「俺の役はあるんだろうな」となり、この豪華キャストが実現。
しかし、皆さすがに高齢なので、若い頃の顔はデジタル処理で加工。その為制作費がかさみ配給が決まらず、Netflixが買い取ったという訳です。
主人公フランク(デニーロ)が、マフィアのラッセル(ジョー・ペシ)と、ボスであるトラック組合のジミー(アル・パチーノ)との間で、"義"をとるか、"情"をとるかで激しく揺れ動く訳ですが、基本的に救いはないです。観ている方もカタルシスは得られません。これは監督の狙いなのでしょうが。
そして、やはり特にフランクはデジタル処理によって顔は若く見えても、身体の動きが年齢を感じさせ、バランスが悪く違和感がつきまといます。ジミーは髪型が不自然で終始気になるし。(笑)
"いつも家族の為に最善を尽くしてきたはずなのに、娘には愛されることなく、人生を満足に終えることもできない"
男の悲哀が心に沁みました。