YACCO

アイリッシュマンのYACCOのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.0
Netflixの配信が日本で始まったのが2015年。
2018年にアルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA」がアカデミー賞受賞し、Netflix作品として初めて日本の映画館で公開された時、いよいよ無視できない存在になったのだなと思いながらも、上映館の少なさに映画館での鑑賞を断念。
今作「アイリッシュマン」も2019年11月1日にアメリカ合衆国内で限定的に劇場公開されたのち、2019年11月27日にNetflixで配信され、現在日本でも公開中ということだが、上映館数はお世辞にも多いとは言えない。それでも、私のように上映館まで足を運ぶ人間は少なからずいるのだ。


マーティン・スコセッシ監督に、ロバート・デニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシというそうそうたる面子を揃えて、フランク・シーランという一人の男の生きざまを210分という長尺で魅せてくれるこの映画も、Netflixなればこそ実現できたのかもしれないとも思う。
この映画における、ロバート・デニーロ、アル・パチーノの共演はもちろん見所のひとつだが、ジョー・ペシの存在感もすごかった。渋い男たちの共演にひとりして外れはいないし、往年のマフィア映画を彷彿させる物語を、素晴らしい演技で魅せてくれた。
また、今作ではフランク・シーランはロバート・デニーロがひとりで青年期から演じ、それを特殊効果によって風貌を若返らせるという試みも行っている。
マーティン・スコセッシ監督のもとに、キャリアと力を兼ね備えた役者を配し、最先端技術を駆使して、壮大なストーリーを210分を長さで魅せる。マフィア映画と聞くと古臭いイメージを受けるかもしれないが、この映画はある意味チャレンジだったのだと思う。
推測だけれど、今作には他にも色々な試みが行われていたんではないかと思う。それを実現できたのがNetflixだったのだろう。今作を見て、いよいよ無視できない存在になってきたなと思いながら、果たしてこういった映画が映画業界に与える影響とはいかにと思わずにはいられない。ここでは触れないが、今現在映画館で上映されているNetflixの映画で注目されている映画は他にもある。

そんな、「アイリッシュマン」の個人的な感想としては、正直なところ、見る前は尺の長さや、日本人の私にはあまりなじみのない男の話であることなど、いくつか不安要素があったのだが、それらは杞憂に過ぎなかった。とはいえ、果たして、これをどれだけ広い層の人たちが受け入れ楽しむことが出来るのかなという疑問は残ったけれど、この映画はそれでいいのだと思う。

「ROMA」に引き続き賞レースにもからんできそうな「アイリッシュマン」であるが、賞レースのみならず、一体どんな評価を受けてどんな影響を与えていくのか、それも楽しみに見守ろうと思った。
YACCO

YACCO