やまモン

アイリッシュマンのやまモンのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.1
【深く限りない諦観】

常に穏やか、と言うよりは仄暗いトーンで描かれた1人の男の半生。 
人生には様々なチャンス、出会い、争い、そして別れが存在しているわけですが、変わらない真理は、人はいつか老いて独りで死んでいくという事実。
人生を振り返るというのも、案外辛いものなのかも知れないなと思いました。

ロバート・デニーロ、ジョー・ペシ、アル・パチーノと大物三人が揃い踏みしたキャストは余りにも豪華なのですが、それぞれの俳優としての力量と個性が見事に調和しており、オールスター作品的な野暮さは全く感じません。

暗くゆっくりしたトーンで物語は進んでいきますが、4時間近い時間を全く苦にすることなく、最後まで楽しむことができました。大変味わい深い。

しかも、史実の裏側、或いは裏社会の視点からの史実を描いている部分もあり、妙な説得力を感じてしまいます。
パチーノ演じるジミー・ホッファについて、別に知らなくても問題はありませんが、多少予習していると、より作品を楽しむことができるかもしれません。

それにしても、人生に対する諦観をこれでもか、と思い出させていただけました。

今年観た映画の中でも、心身に馴染むという意味では1番かな。