『釣りバカ日誌』マフィア編的な趣きの大長編。淡々とした語りの中、細かい段取りをすっ飛ばし、スーさんの命令で冷淡に仕事をするハマちゃんの姿を切り取った、スコセッシの演出に唸る。鈴木建設ならぬ、全米トラック協会会長の佐々木営業本部長の運命や如何に……
と書いてはみたものの、フランク@デニーロは趣味もない仕事好きだから、ハマちゃんとも違うか。何にせよ、近代アメリカ史の裏で蠢いた暗躍を、淡々としたドキュメントタッチで描いているのが良かった。物語に深く関わらない各登場人物の初登場で、その人物の運命が、書かれているのも洒落が効いていて良かった。
にしても、やはりちょっと長過ぎる感は無きにしもあらず。振り返るとそこまで色々やってはいないよな、と思ったり。
ディープフェイクによる顔面すり替え自体はほとんど違和感なく、驚きはあるものの、やはり上背から肩の辺りの硬さや、歩幅や腕の振りなど、仕草に歳は隠せない感じで、少々の違和感はある。まあ、かと言って大きなアクションがあるわけでもないので、同じ役者で押し切るという判断は功を奏しているように思った。
