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アイリッシュマンのじぇじぇじぇのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
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I HEARD YOU PAINT HOUSES...

映画の冒頭画面いっぱいに出てきた、映画の原作でもあるこのセンテンス。映画を見終わった今こうして見ても、私はアイリッシュマンを、3時間を超える上映時間の中で、ずっと他人事として淡々と見ていたように思えます。ただ淡々と、I heard...それだけなのです。

主人公はフランクで、彼の回想シーンを主に話がずっと進んでいきます。3時間半ずっとです。
しかし彼の置かれた立場や行動の中の理屈や、終盤に来る彼の苦しみを理解することは出来ても、ひどく共感させられたりすることはなく、だからこそフラットな姿勢でずっと見続け、映画の考察や自分なりの考えが出来たように思います。

マフィアに所属する彼らの最後はどれも哀愁と言うことも出来ないただひたすらの孤独。フランクが神父の教えを請うたり、ラッセルが教会に行ったりするシーンを見て、彼らの最終的な頼る先も信仰になっているのだなぁと感じました。ひどく哀れな最期。これが現実なのでしょう。栄枯盛衰の衰の部分が欠けている表現の提示が苦手なので、私としてはとても嬉しい最期の描き方でした。

その他印象に残っている点で言えば、どのキャラクターも初登場時に亡くなった年と死因について描かれているのがとてもお茶目でクスッとなって面白かったです。

今回映画館で鑑賞しましたが、映画館だからこそ3時間半間延びしたと感じることもなく鑑賞できました。映画館で見ることができてよかった!