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アイリッシュマンのabeeのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.0
【I HEARD YOU PAINT THE HOUSE】

毎年楽しみにしているアカデミー賞授賞式。
いつも授賞式後に作品を観ることが多いのですが、今年はある程度ノミネート作品を観ておこうと思っています。

ということで、「アイリッシュマン」、ギリギリ劇場で観ることができました。

「ミーン・ストリート」と「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を足した感じの作品でした。

事前情報入れなさすぎて、アル・パチーノの役柄がジミー・ホッファでびっくり。
何の映画で観たんだっけ?って思ったら「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」でした。

そもそも冒頭から時系列の進み方が「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」と似てるなぁと思ってたのですが、どこか雰囲気は「ミーン・ストリート」を思い起こさせる。

フランク・"アイリッシュマン"・シーランの自伝的ノンフィクション作品を元に全米トラック運転手組合(労組)とマフィアの繋がり、そして組合委員長であったジミー・ホッファの失踪事件を描いた作品。

家族を養わなければと裏社会に足を踏み入れた1人の男の生涯。

Netflixで観る方がお勧めです。
劇場で観るにはやっぱり長いです。
一瞬落ちてしまい、ほんの5分程だと思うんですが気づいたらアル・パチーノがムショに居ましたww

ロバート・デ・ニーロ演じるフランクとジョー・ペシ演じるラッセルが互いの妻を車に乗せ、大事な結婚式に向かうシーンを軸に、その道中に過去を回顧しながら、それを語るのは晩年のフランクという面白いストーリーテリング。
冗長ではあるのですが、年代が行ったり来たりするので飽きることはありません。

男同士の友情を若年から晩年にかけて丁寧に描いていますが、それと同時にそこに存在する嫉妬心まで見せるのは、やはりロバート・デ・ニーロの演技があってこそ。
最後の1時間の展開は史実を知らなければ結構衝撃的です。

その展開のキーを握るのは、フランクの娘・ペギー。
演じていたのは「X-メン」のローグでお馴染みのアンナ・パキン。
老けたなぁ…

マフィアものというのはいつも男同士の友情を超えた家族同等の愛が描かれるものですが、本作は「友情を超えた家族愛」と「本物の家族の中の愛」との葛藤があります。
結局どちらが大切なのか、あっさりと答えを出すフランクの筋の通った人間性が良く描き出されていました。

ということで、実際のところ「ジミー・ホッファ失踪事件」は未解決で、本作で描かれているストーリーは実は有力な説の一つに過ぎないようです。
本編にあったようにジョン・F・ケネディ暗殺同様、この物語はマーティン・スコセッシの手によって遠い未来まで語り継がれる神話になったように思います。
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