シマクマ

アイリッシュマンのシマクマのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
3.9
(あらすじ)
1950年代のフィラデルフィア
トラック運転手フランク・シーランは、マフィアに商品の横流しをしたことで起訴されたものの有能な弁護士ビル・バッファリーノによって無罪を勝ち取る。
ビルがフランクに紹介したのが、ペンシルバニアのマフィア「バッファリーノ・ファミリー」のボスであるラッセル・バッファリーノ。
ラッセルのもとでマフィアの「殺しの仕事」を引き受けるようになったフランクは、
ラッセルから全米トラック運転手組合「チームスターズ」委員長ジミー・ホッファを紹介される。
ホッファのボディーガードを務めながら、家族ぐるみの付き合いを築いていたフランク、
だがホッファは組合の年金積立金を不正使用した罪で逮捕される。
さらに、ホッファは出所後も組合委員長の座に固執したため、組合幹部やマフィアとの間に溝が深まっていった・・・という話




内容は
ある日、主人公フランクが老人ホームの中で
戦争から帰還してから今までの裏社会で生きてきた半生を独り言を言いながら振りかえる。
実は彼の半生は、50年代から60年代にかけて大統領の次に権力がある男と言われた「ジミー・ホッファ」の失踪事件に大きく関わっていたというお話。


今年のアカデミー賞で10部門ノミネートされ、世間の評価もとても高かったので興味をもってネットフリックスで視聴。
実は上映時間がなんと3時間半もあります。
アカデミー賞で黒人のコメディアンがスコセッシ監督に「アイリッシュマン シーズン1 面白かったよ」というギャグをかましてたぐらいです

いざ観てみるとストーリーがゆっくりしたテンポで進行し丁寧に描かれていているので3時間半あるのも納得でした。
ドラマだと思って2回ぐらいに分けて観るのがいいかもしれません。
始まって約40分後にジミー・ホッファが登場しますが、このあたりからお話が面白くなっていきます。
フランクとジミーの関係が丁寧に描かれているので感情移入しやすく
またキューバ危機やケネディ大統領暗殺事件の裏側を登場人物に絡ませて描いているのも面白いです。
またフランクとラッセルののんびりとしたロードムービーをお話の間に挟んでいて飽きさせない作りになっていました。(そのロードムービーのオチも上手い)
作品の出来はとてもいいです。
この内容だったらアカデミー賞どれか1部門でもいいから受賞しても良かったのになと思いました。

ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ
若い頃ギャングものに散々出演した3人が晩節に共演し恐らくこれが最後のギャング映画になるであろうこの作品を
マーティン・スコセッシ監督が名作に仕上げてくれました。
興味がある方は、ぜひネットフリックスに加入して鑑賞することをオススメします。

















(ここでネタバレ)
この映画 主要キャスト3人含め登場人物に善人は殆どいないんですよね


彼らの最期はどれも悲惨だったことを映像またはテロップで表現していました。
またフランクとジミーの友情は儚く虚しいものだったし、ラッセルも築いた権力が崩れるとなにも残らず、
子供たちに相手にされないフランクは、自分で棺桶を買っていました。
要するに裏社会で悪行を重ねてきた男たちの最期はとても寂しいものですよってことが言いたかったのかなと思いました。
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