Inagaquilala

アイリッシュマンのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.2
約3時間半の作品だが、日を置かず2回目の観賞をしたが、それでもまったく飽きることがなかった。それほど濃密に、3つの時制で物語が語られていく。つまりひとつの作品のなかで、3つの物語が進行していくと言ってもよい。しかもそれらが巧みに織り込まれていくために、観客は混乱することなく、落ち着いてスクリーンに対峙することになる。このあたりはさすがに長年、作品をつくりあげてきたマーティン・スコセッシ監督の成熟した技なのかもしれない。個人的には回想の回想として語られるアル・パチーノが演じる全米ロードスターの委員長ジミー・ホッファの物語がいちばんの興味で、スコセッシ監督も、実はそこを最も語りたかったようにも思える。彼の過去の作品で「カジノ」というラスベガスを舞台にした実録物があるが、そのなかでもホッファの話は出てくる。どうやら彼はこの頃から彼の映画を撮りたいと願っていたのだろう。ある種、狂言回しのような役のロバート・デ・ニーロの主人公だが、彼の演技もまた、アル・パチーノに迫るものだ。CGで若返った彼らの表情もまた見どころかもしれない。

11月23日、アップリンク吉祥寺で再観賞
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