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アイリッシュマンのkenのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.2
3時間半という長丁場も全く気にならず、ベテラン俳優3人の年輪を重ねた演技に自然と引き込まれた。戦後、米国の裏社会で殺し屋として生き抜いたアイルランド移民のフランク・シーラン(ロバート・デニーロ)の半生の物語である。

マフィアのボス、ラッセル・バファリーノ(ジョー・ペン)、そして全米トラック運転組合の委員長で黒幕のジミー・ホッファ(アル・パチーノ)、この3人の悪業を通して米国の闇社会が描かれている。

戦争体験から冷静な殺しができると見抜かれ、トラックドライバーからヒットマンに転身したフランク。悪業で生計を成り立てるマフィアも愛すべき家族を守り、どこまで信用・信頼できるか分からない裏社会でも友情は存在した。

年老いたフランクが、老人施設で人生を振り返るシーンがある。家族を顧みずギャングとして働いたことへの後悔、犯した多くの罪に対する懺悔、そして自らの死を迎えることへの覚悟。誰もが避けては通れない最期の時、人は何を振り返るのだろう…。今からでも遅くはない。大切な家族を守り、家族を慈しみ、家族や友との時間を大切にすべきだと思った。フランクは戦争体験により人間性と人生が変わってしまったが、選択するのは自分だ。ヒットマンであってもやはり家族が一番で、特に娘との確執は辛く心残りであったに違いない。
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