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ノクターナル・アニマルズのpanpieのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.8
なんだこれは〜!
超面白かった!
スコアこれでいいのかな?
5かもしれない!

やっとこ「ブレラン」のレビューが終わって観に行ったのがこれ。
大体のあらすじは知っていてジェイクの新作だから絶対観る的な期待はしていたものの目に飛び込んでくる冒頭のブーツだけを身に付けた豊満すぎる肉体の女性が4人代わる代わる音楽に合わせ胸や身体中の贅肉を揺らしながら踊るシーンに釘付けになった。
凄いど迫力!
どうやら展覧会のレセプションの一幕の様だ。
アートギャラリーを経営するスーザンは服もメイクもバッチリでハイソな世界の人間と一目で分かる。
仕事で成功しているものの実生活では夫とはすれ違いの生活に悩んでいる。
悩んで夜眠れない日々が続く。
そこへ作家志望だった元夫エドワードが書いた小説が届く。
〝スーザンに捧ぐ〟と書かれた小説のタイトルは「ノクターナル・アニマルズ(夜の獣たち)」。
今の夫は逃げる様に出張に行ってしまい1人豪邸に取り残されたスーザンは早速本を取り出して読み始める…



小説の舞台はテキサス。
スーザンが小説を読むと小説世界が描かれる。
ジェイクが元夫エドワード、小説中ではトニーと二役をしている。
私はトニーの妻ローラ役もエイミー・アダムスだと思っていたのだけど違う女優だった!(メイクが薄かったし似てたので間違えていました〜!(^^;;)
2人にはティーンエイジャーの娘が1人。
小説の内容がびっくりなのだ!
最近あまり時間がなくてなかなか本を読めなくなってしまったのだけど読んでいて登場人物の顔や情景が色付きで浮かぶ事がある。
それを地で行っている。
それもサスペンス!
最も関わり合いたくないタイプの連中と夜人通りも民家も全くない携帯の通じない場所(テキサスのだだっ広いメキシコの様な風景の場所)で起きてしまう事故!
いや〜あれは事故じゃない!
彼等は狙われた獲物だった!
もうめっちゃ怖かった〜!(>人<;)
現実と小説と過去が行ったり来たりして役者が若くなっていたり服装などでその時々を演じ分けておりちゃんと分かります。
演じ分け凄いです。
スーザンが小説を読んで娘が心配になり電話をかけるシーンがあるのですがいちいちそういう感情に共感してしまう為とても入り込めた映画でした。
何よりおっかなかったし。


小説世界に出てくる警部補のボビー演じるマイケル・シャノンが良かった!
会う度に顔色が悪くて少し痩せてたり変な咳をしたり具合悪くなって吐いたりするんです。
それが今具合悪くなるなよ!っていう絶妙なタイミングで咳が続いて容疑者から目を離しちゃう。
結局病気と分かるんだけど不治の病と知ると法的には悪い事なんだけど彼の取る行動は十分に理解出来たしトニーに寄り添ったある意味思いやりというかここまで来るとほとんど親友の域だなと思いました。
いや、それよりも自身の果たせなかった復讐を表しているのかな。
思うにここまで生きてきた中でどう見ても悪人なのに逮捕出来ないなどボビーには今迄散々だった過去があったのだと思う。
やっちゃいけないけど退職させられて後は死を待つのみなんてふざけんな!て凄い伝わってきた。
目には目をって事か。
今迄の恨みつらみを果たすって事か。
今作のこの役でアカデミー賞助演男優賞ノミネートされています。
ノミネートも納得の演技でした。
彼の出演作で多分観たのが「マンオブスティール」だと思いますけど何の役だったか思い出せない。(^^;;
トレーナーの役?友達?
…今度見直してみます。(-_-;)

エイミー・アダムスもジェイクもほんと素晴らしいですけどジェイクがね、今回やられっぱなしの弱い男を演じていてそこがほら!もっと出来る男でしょう、あなたは!と思ってしまう。(^^;;
今作では〝弱い男〟がキーワードです。
男の人に絶対言ってはいけないNGワードですね。
エイミー・アダムスが「メッセージ」で化粧っ気のない言語学者を演じていましたが女優さんて流石!と言う変身ぶりでした。
派手なメイクをしていますが別れた前夫のエドワードとの過去では若くてメイクも派手じゃないしラストで口紅をティッシュで拭き取る繊細な表情の演技には魅了されました。

クズ役がアーロン・テイラー=ジョンソンとカール・グルスマン。
アーロン・テイラー=ジョンソンは観てる映画には全く絡みがなくてジョン・レノン役を演じた「ノーウェア・ボーイ 一人ぼっちのあいつ」は観てみたいですね。
ロン毛で薄ら笑いが気持ち悪くなかなか尻尾を出さない狡猾な男を演じていました。
カール・グルスマンは名前が聞いた事があって何だっけ?と思ったら「ネオンデーモン 」の最初のカメラマンでジェシーの彼氏?役でした。
チリチリの髪と髭で分からなかった!
スーザンの超嫌なお母さん役でローラ・リニー出てましたが流石の演技でした。
若い頃ならなんだうるさいこのババアは!と思ったでしょうが私的にはちょっと気持ち分かっちゃった。(-_-;)
もうねお母さんの立場でしか映画を観れないのかも。(^^;;
そんな事に今日改めて気付いてしまいました。(;_;)
私の場合ですけど大体ね抵抗しても結果が親の言う通りになってますからね、実際。
今では親の言う事は間違いないと実感している訳です。

とても都会的でありながら色で見せる要素もあります。
出てくる絵画やオブジェがジョン・フォード監督自身の個人コレクション多数だったそうです。
映画もゴージャスでアートでした。
フィンチャーを思わせました。
冒頭の豊満すぎる女性達のダンスシーンはリンチ的だし。
スーザンのいる現実社会では登場人物が皆服装が洗練されていて無機質で人との関わりもあまり濃くなく淡々と描いているのに対し小説の中ではテキサスの荒涼と広がるメキシコの様な風景と悪に染まった登場人物の荒れ果てた感じや人物同士の絡みばかりで人との関わりを濃く描いている。
この対比が凄い!
監督きっと計算してますね!


「ブレラン」2回目観る気満々だったのですけどその前にもう一度これを観たい!と思わせる程私的には不意打ち食らいました。
かなり好きなタイプの作品でした。

ジェイク凄いなぁ。
作品毎に演技も顔つきも違う。
まだ企画の段階だそうですけどヴィルヌーヴ監督で映画化される映画に出るそうです。
また目が離せませんね!(*'ω'*)
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