優しくて弱い彼を許せなかった彼女だけど、彼女自身も両親の呪縛に苦しめられて、強くて弱い気がした。弱さと強さは表裏一体で、だからこそ弱い彼が許せなかったのでは。
煌びやかで笑顔で楽しそうでも、肉の塊の身体は見ているものを苦笑いにさせる。皮肉さが彼女の芸術の真骨頂なのだとしたら、幸せでいるよりも不安定でいる方が、仕事は絶好調なのかもしれない。
彼も彼女との辛い経験があったからこそ、今回のような凶暴で強い作品を生み出すことができて、お互い傷つけあっているけれど、仕事では良い影響を与えているようにみえて、少しララランドに通じるような部分もある気がしてしまった。
終盤、鎧のような強い色の口紅を拭った彼女がなんとも切ない。