柏エシディシ

ノクターナル・アニマルズの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
3.0
世界的トップデザイナー掴まえてこの物言いはナンですが、本当にセンスの良い人間が映画撮ったらこうも見事なものなのか。
「スタイルは重要じゃない。大事なのは中身」という監督トムフォードの言葉の重み。

タイトルロールからバキバキのアート感覚を爆発させつつ、並行して語られるアメリカンニューシネマの様な土埃に塗れた凄惨なノワール。
虚構と現実、過去と未来が交錯する編集と演出の斬れ味。キッレキッレ。

舞台を出身のテキサスに。主人公スーザンをアートキュレーターというハイソに置き換えた原作からの改変にトムフォード自身の出自や、其処に対する複雑な想いが込められている様に思います。
前作「シングルマン」と同様、「デザイナー」「監督」トムフォード以上に「人間」トムフォードを感じられる作品。

そして、これも前作同様、最高の布地で最高のスーツを仕立てる様に、最高の役者で最高のキャラクターも創り上げてくれる。
ノクターナルというかアクティングアニマルズな主演陣の演技を堪能する映画ですな。これは。
ジェイクギレンホールとエイミーアダムスは異なる個性、年代の人物を完璧に演じ分けいて流石。
マイケルシャノンの鬼気迫る迫力。
そして、もはやキックアスな面影が微塵も感じられないテキサス系DQNを憎たらしく好演するアーロンテイラージョンソン。

意味深に画面に登場するモダンアートなど、まだまだ読み切れていない寓意や暗喩が豊富にありそう。町山さんの映画ムダ話聴いて、再見したい。
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