すず

ノクターナル・アニマルズのすずのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.0
こんなに引き込まれる自分にビックリ

まず、オープニング。こんなオープニング観たことない。強烈で嫌悪を抱く方もいるだろう。私はあの姿がキレイに見えた。嫌らしさを感じなかった。キラキラときらびやかで私はいったいなんの映画を見ているんだろう?と思ってしまうほど。一見の価値ありです。


物語は現在、過去、小説の中の話を織り交ぜ展開していく。


序盤、小説の中の話が30分ほど続くがイヤな予感、ヤバそうな雰囲気がプンプン。なのに続きが見たい自分がそこにいる。小説を読んでいるような高揚感。私は映画を見ているのか、小説を読んでいるのか。おぉーなんだこの感覚。

小説の中に出てくる警官(マイケル・シャノン)が渋くてたまらん。


[シングルマン]の時も思ったが見せ方が綺麗。


この小説は元夫がスーザン(元妻)に送ったもの。なぜ今になって送ってきたのか。復讐のためか。愛なのか。ラストに待ち受ける展開に呆然とするもエンドロールの音楽が良い余韻になり、観客それぞれが考察を開始する。誰一人席を立たない。映画に引きずり込まれなかなか抜け出せない。



極上のアートと至高のミステリーに酔いしれてみてはいかが?






以下、考察




単純に考えればよくも俺を捨てたな、子供も殺しやがって。もう一度俺を好きにさせて無視してやる。ざまぁみろな復讐だが、愛ですよこれは。
「REVENGE」はミスリードだし、ヒントが沢山ちりばめられてる。何より原作の原題は「トニーとスーザン」。「トニーとエドワード」ではないんです。小説の中の人物はスーザンがトニー=エドワードとして想像しているが、エドワードはトニー=スーザンとして描いている。エドワードはスーザンに変われ!立ち向かえ!主張しろ!とエールを送るメッセージとしてこの小説を送ったが、スーザンは全くそれに気付かない。トニー=エドワードと自らの主観で置き換えてしまい、彼女が変わらなかった、スーザンの母同様に成り下がってしまった。だからエドワードは現れなかった。復讐だったらエドワードにとって勝利のグッドエンドだが、愛だったらバッドエンドになる。観客によって異なる○○エンドになるのが面白い。私はバッドエンドなトゥルーエンドだと思う。
すず

すず