恭介

ノクターナル・アニマルズの恭介のレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.0
惜しくも劇場で見逃した作品。

なんざんしょ、この語り口調は静かなのに
開始早々、胸ぐらをつかまれて物語に引き込むような、有無を言わせぬ雰囲気は。

とりあえず、解釈は後にしてまずはこの流れに身を任そう、と思っても結局、色々考えながら観てしまった。

リアルタイムと過去と小説の世界の三重構造。得てしてこの手の多重構造な映画は、語りが悪いとごちゃ混ぜになり、意図してそうしてるのか、はたまた技量がないだけなのか、判断がし辛い作品に陥る恐れがある。が、本作はそこまで複雑ではない。

だから、割とこちらが色々と深読みする時間を与えてくれる。


以外、ネタバレあり


ラスト、エイミーがジェイクと待ち合わせしてたレストランでのシーン。
結局、ジェイクは現れなかった。そしてそこでスパッと、ジ・エンド。
おーいっ、そうきたか(笑)

なぜ、彼は来なかったのか?結局、ジェイクが小説に込めた思いが伝わらず、落胆して来なかったのか?彼女がレストランに来た時点でジェイクには分かってしまったのかなと。

途中、復讐、なんてデカデカと文字にして
見せたのはちょっと、あからさまにミスリードを誘う演出に感じてニヤけてしまった。
自分は、ジェイクがこの小説をエイミーに送った本心は、君はあれから変わったのかい?という、問いかけだったんじゃないかなと思う。

母に反抗心を持つが、結局、母の予想通りの展開になり、二股のように男を作り、堕胎し、彼氏の浮気を分かっていながらも、何も言わない。会議では一貫性のない意見でスタッフを戸惑わせる。

エイミーに全く主体性がないのだ。

そして、小説の世界を省みると、まさしくジェイク演じる男にも主体性がない。
特にハイウェイでの悲劇の引き金となる一連のシーン。観ていて歯痒い事、この上ないジェイクの行動。他人の言動に流され、惑わされる、まさに現実世界のエイミーにリンクしている。
その行動が結局、後で大きな後悔となり、
その思いを引きずったまま、人生を過ごすようになる。

エイミーが小説の中でジェイクと思って読んでいた人物は、実はエイミー自身だったんじゃないかと思う。

ラストの銃が暴発し絶命するジェイクの姿も、このままじゃ自分で自分の首を絞めて人生台無しになるぞっ、という痛烈なメッセージだったのかなと。

しかし、結局、彼女はまたジェイクの誘いに乗って、大胆な服を着て指輪を外し、ケバい今の自分じゃなく、愛し合ってた頃の自分に近づける為、派手なリップを拭う。

あぁ、ダメだこりゃ。ってジェイクがどっかで見たてのかもしれない。だから彼女の前には姿を現さなかった。

そう考えると、まさしく

エイミーに捧げる、小説。

小説を読み、気がついて俺の誘いに乗らないでくれっ、という願いも虚しく彼女は誘いに乗ってしまった。

復讐ではなく、ある意味ジェイクから
エイミーに送る最後のメッセージだったのかもしれない。

とかなんとか、思いを巡らしつつ、ジェイクやエイミー、そして渋く凄みのある存在感を発揮しているシャノン。憎たらしさで観ているこちらを掻き乱すジョンソンなど、皆、素晴らしい演技で見応えのある作品になっている。

いろんな解釈が出来て、観た後、余韻に浸り想いを馳せる。そんな楽しみ方が出来るいい映画。