hajime363

ノクターナル・アニマルズのhajime363のネタバレレビュー・内容・結末

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ひどいフラれ方をした“とてもロマンチストで感受性豊かな”男の復讐物語

さすがトム・フォード監督、傑作です。
まとまらないので、思うところをとりとめもなく…

フィクションの主人公に感情移入させることで“あの時の僕の気持ちを思い知れ!”って凄い手が込んでるけど、この上なく良い方法ですよね笑
表現者って凄いなーと改めて。

交差する3つの場面のルックが良いです。現実の調和、均整と不穏さ、空想の世界の砂っぽい質感、思い出の暖かみ、画面見ているだけで楽しい!お腹いっぱい!

あと、思い出の中に出てきた小物が物語とシンクロしてデティールに反映されているのとかも楽しいですよね。作品を否定された赤いソファと死体、別れを告げられた場所と殺人犯のミドリの車とか、もう一度観たら色々見つかりそう。

トム・フォード監督の映画って“二人で飯食ってるとき、大事なこと言いがち”だと思うんです笑
今回だと、エドワードが表現について語るシーン(表現で死にゆく者を救いたいという話)とか、スーザン&母の“お前は私の娘だ”話とか、大事なこと、つまり、監督の思想的な部分をキャラにセリフとして言わせがちな気がします。

夜行性の生き物=スーザン=殺人犯というのも、何か例え方(繋げ方)がお洒落。もう全部お洒落。

最後、割と受け手に解釈を委ねるタイプで、個人的にはしょんぼりな解釈しちゃったんですが、ソフトの特典映像での監督曰く「復讐ではあるけど、スーザンにとっても鬱々とした生活からの脱却(心理的変化)という意味ではポジティブ」と語っていたので、まぁ、確かにスーザンの現実が完全に鬱病のそれだったので、それよりは一歩進める契機なのかなって感じですかね。
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