しょこ

ノクターナル・アニマルズのしょこのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
3.6
約20年前に別れた夫、エドワードから送られてきた著書「ノクターナル・アニマルズ」
直訳は「夜行性の動物」彼曰く、私との別れにインスピレーションを受け、私自身に捧げる作品だという。中身は暴力的で人の倫理観に問うてくる内容。衝撃的な内容だが、読むのを止められない。作品を読み進めていくうちにエドワードとの出会いや別れが鮮明に思い出されていく。
いつしか、スーザンは才能がないと見切ってしまったエドワードと会って話をしたいと思うようになるのだが。

スーザン目線で描かれているが、2人の出会いから別れまでを、小説の内容と織り交ぜながら反芻させる。作中の架空の人物とエドワードとスーザンを重ね合わせることが出来る部分がいくつも存在するのがなんとも薄気味悪い。
自己中心的で、打算的だったスーザンへの当てつけなのだろうかと思うと背筋が凍る。
小説を送り付けたのも、最後に約束を破ったのも、全てが復讐だったのだと思うと末恐ろしい。

しかし、この作品なんとも、蠱惑的なのだ。
やはりトム・フォード監督しか出せない映像さながら、人間の醜いダークな部分を腸から引きずり出された気分。同じ女性だから尚更なのかもしれない。
豊満女性が踊り狂う冒頭。赤を基調とし煌びやかな空間のど真ん中で、だるんだるんの脂肪をこれでもかと見せつけてくる。美しさと醜さの相反するふたつが並んでいることに違和感でしかない。にも関わらず、その映像が何故かより際立って見える。現に映画を見終わっても瞼の裏に焼き付いて離れない。破壊力を持つ画を堂々と数分に渡って映画に織り込めるのは、トム・フォードならでは。

昼からドッカリくる映画を見てしまった。胃もたれしそう。