ヴェルヴェっちょ

ノクターナル・アニマルズのヴェルヴェっちょのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
3.8
「不条理な世の中を楽しめ」
こんな気障な惹句が似合ってしまう怪作。面白かった。

経済的には恵まれながらも心は満たされない結婚生活を送るスーザン(エイミー・アダムス)のもとに、20年前に離婚した元夫エドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説『夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)』が送られてくる。
その小説はスーザンに捧げられ、暴力的で衝撃的な内容だった。
才能のなさや精神的弱さを軽蔑していたエドワードの小説に、それまで触れたことのない非凡な才能を感じ取ったスーザンは、彼との再会を望むようになる。
エドワードはなぜスーザンに小説を送ったのか…?

現実は甘くない。何の説明もなしに襲いかかり、時に牙を剥く。そう、夜行性の獣のように。

暴れ回る獣に翻弄されるように、小説を読むスーザンの心はかき乱されていく。
終始圧倒的な描写力で観る者をひきつけ、離さない。
観終わった後には、えぐられたような放心。爽快感の欠片もないのが、また乙。