鹿江光

ノクターナル・アニマルズの鹿江光のレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
3.8
≪78点≫:ジェイクとエイミーが出とるなら、それはもう観るしかなくて。20年前に別れた元夫から届いた小説がこの物語の主軸。
オープニングからかなり強烈で、それ以降はずーっと暗く湿ったものが心に覆い被さってくる。物語の中で物語が進み、劇中劇というか…とにかく複雑だった。
小説である以上、全ての物事は現実のメタファーであるべきで、果たしてこれは元夫の復讐なのか、警告なのか、愛の残滓なのか、「これってどういう意味だろう」と考えながら楽しめる作品だった。ポール・ハギス監督の『サード・パーソン』に似たものを感じる。
個人的には色々勘繰りながらも、後半は「ジェイクの憔悴した姿はセクシーだなあ」としか思ってなかったので、ラストカットでいきなりドンっと放り出されて、完全なる置いてきぼりエンドロールでした。まぁ劇中の要素をひとつずつ繋ぎ合わせていくと、ラストの意図は自ずと見えてくるわけだが……ジェイク、あんた最高に陰湿でクールなことするよなあ。
責めながらも光をちらつかせ、喪失を自覚させつつ、再生させようと善き道へ導く。だがしかし、決して手は差し伸べない。希望を見出だしたのなら、小さな絶望の針で少しずつ刺し続け、絶望の底へ落ちそうになったら、薄らと光を与え出口を示してあげる。耐えられる程度の痛みが永遠に続く生き地獄。理想とも言える復讐のかたち。
エイミー・アダムスはやっぱり鼻が高い。ジェイク・ギレンホールはお髭があってもなくても超セクシー。
鹿江光

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