きゅうげん

パージ:大統領令のきゅうげんのレビュー・感想・評価

パージ:大統領令(2016年製作の映画)
3.7
アメリカ政治の真骨頂・大統領選挙を舞台にすることで、社会制度としてのパージに深く切り込んだシリーズ3作目。
NFFAの白人エスタブリッシュメント感や、弱者であるアフリカ系・ラテン系の市民感情なども、カリカチュア的によりあからさまになってます。
また、唯一の問題点「反パージ軍団の手段もまたパージに則るという自己矛盾」にも、ちゃんとメスを入れたのがGOOD。

ただ仲悪かったレオとジョーに芽生えた友情=“黒人らしい”ボディ・ランゲージ、というのはかえってステレオタイプに裏打ちされた表現な気も。
またNFFAの実働部隊である白人至上主義者が、ネオナチや南部国旗などイメージてんこ盛りなのに、やられ役に矮小化され没個性的なキャラクターになってしまってるのも残念。

パージそのもののヒドさは磨きがかかってましたね。ガチムチの“ファイトクラブ”化とか、ささいな夫婦喧嘩の悲しい顛末とか、焼死体を前に茫然自失の狂女感とか。
殺人旅行なんて、中世のドイツ騎士団国みたいでホント最低。
しかし、「選挙結果を受け入れられない狂信的支持者の暴動」ってオチ、あまりに予言的すぎて今じゃ笑えないですね……。
事実は映画より奇なり。