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パージ:大統領令のTSのレビュー・感想・評価

パージ:大統領令(2016年製作の映画)
3.5
【パージ法に不満を持つ者たち】75点
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監督:ジェームズ・デモナコ
製作国:アメリカ
ジャンル:スリラー
収録時間:109分
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非常に面白い設定をしている今シリーズ。12時間いかなる犯罪行為も合法となる。というシチュエーションは悲しくも興味を持ってしまう絶好の材料であります。今作はその三作目にあたり、いよいよこのパージ法に不満を持つ議員と暗殺者たちのせめぎ合いが描かれることになります。

1作目はこの魅力的な設定をうまく生かせずに単なる一軒家でのスリラームービーとなりました。2作目はそのあたりの欠点をうまく補完していてかなり面白いものでありました。今作はその中間あたりでしょうか。ただ、三作目として考えた場合やや微妙といった印象であり、総合的には三作の中でも一番地味かもしれません。マンネリ化も否めず、仮面を被って人を殺すあのおどろおどろしさにも既視感を覚えました。

それにしても何故こんな物騒な法律が国で認められているのか。その真相は2作目でわかるのですが、今作においてはパージ法によって利益を得る人達がさらに強調されています。国家が国民に放つパージ法の目的なんぞ、ただのフェイク。そこには実にドロドロとした事情がいくつも隠れているのです。
そして、今シリーズを見ていつも、法律の偉大さを思い知らされます。僕は、法律は人類最大級の発明と思っています。他の動物にもルールは存在すると思いますがそのレベルの差は歴然。法律によって人は守られるし、または裁かれる。法律は諸刃の剣ですし、それこそ今作に出てくるパージ法は立場によって善法でもあるし悪法にもなります。

街角アンケートをとれば、恐らく9割以上の人がパージ法は悪法とみなすでしょう。しかし、残りの1割はそうと言わないでしょう。これが人間です。完全なる満場一致とはこの世に存在しないと思われます。

ちなみに僕がこの世界にいるとするならば間違いなく立て篭もりますね。どんな理由があれ人を殺すということは法律的にとかではなく道徳的に「悪」であり、ましてやチョコバーを万引き出来なかっただけで人を殺すということをするのは論外以外の何者でもないでしょう。もっとも、パージ法はいかなる犯罪行為も合法となるわけでして、自分が殺しの行為をしている時も常に殺される危機にあるということは忘れてはいけません。
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