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パージ:大統領令のしゃにむのレビュー・感想・評価

パージ:大統領令(2016年製作の映画)
2.5
「憂さ晴らしはパチンコに限る」

シンゾウよ、こ れ が U S A だ

↓あらすじ
貧困者を一掃する犯罪行為が12時間だけ合法化されるパージに陰りが出る。パージの犠牲者になり家族を殺された女性議員がパージ反対派の先鋒となり世論が沸騰する。デモが激化し、強気な政府も反乱分子の女性議員を危険視し始める。そしてパージ当日。支持者の大半が貧困層なので弱者の味方というイメージを崩さないため、議員は自宅に警備を固めてパージの夜を過ごすことになる。セキュリティーは万全のはずだったが警備員にも大統領の息がかかっていた。優秀なSPが機転を利かせて脱出、途中で元ギャングの女性や気のいい雑貨屋の店主と合流して…

・感想
仮想の国の仮装パーティ第3夜‼︎もはや国交断然不可避⁉︎ 架空の国USA(うさ)で公然と行われる独裁者のイキスギた貧困層イビリを告発する空想作3発目。3発目ともなると出るものも水っぽくなり(何の話か)さすがに「ヒャッハー」だけで貫くのも厳しくなるので、必然的に畳み掛ける展開になる。全体的に漂う既視感はハンガー・ゲームから由来するものだろうか。醍醐味となるパージは比較的控えめ、どちらかといえば革命戦争がメインに構成されている。前作前々作のパージで狩られる恐怖を味わってきただけに虐げられてきた鬱憤が一気に晴らせて爽快、終盤で富裕層を銃火器でめった殺しにする場面は痙攣するくらいの快感である。当然ながら過去作の復習は必須。まとめ上げの段階なので狂人達の殺戮仮装パーティは物足りない。前ほど刺激はあまり無い。しかし、趣向を凝らしたコスチュームはなかなか奇抜だ。目玉のポスターのイカレポンチに代表される恒例の仮装パーティはますます盛り上がりを見せる。物騒な殺人ツーリスト(殺人旅行)には爆笑である。悪ぶりたいお年頃のJKお手製全身豆電球イタ車はダサ過ぎて絶句…オノを振り回すムキムキのバイキングの乱舞、フランス人旅行者によるお得意のギロチン公開処刑ショー…他にも趣向を凝らした仮装が見られて面白い。欲を言えばもう少しトンデモ殺戮ショーに時間を割いて欲しかった。正直ノリ切れなかったが乗りかかった船だから最後まで見届けようという篤信な方には悪くない出来映え。

・United States Ahorica
心がぴょんぴょんしそうなネーミングの仮想国USA(うさ)が舞台なのだが、あながち仮想だとも言えなくない。独裁的大統領の極端過ぎる富裕層優遇政策…どこかで見たような気がするが気のせいであろうか。パージ景気で潤う全米ライフル協会。パージ保険料吊り上げて貧困層から搾り取る保険会社。水面下で圧力団体が働きかけているのだと示唆する台詞があったり。独裁的大統領に中指を突き立てる議員にメキシコ人が協力したり。果たしてそのような意図があって制作されたのかは不明だが、今作は観ようによれば風刺の効いたディストピア作品でもある。こんな未来にならないようごちUSA3期制作祈願である。
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